さて、話を本題に戻しましょう。
実を言うと、日本国内のインターナショナルスクールに通って完璧バイリンガルになった人はアイデンティティに関してどこか中途半端なところがあるといわれています。日本人なのに日本人のアイデンティティをもっているのかどうかわからない。日本語レベルが低い。つまり「漢字の読み書きが小学校2年生レベル」とか「日本語の使い方がおかしい」「仕事の書類が書けない・・」などの悲劇が起こっているのです。
「インターナショナルプリスクール」についても少し触れておきましょう。最近、日本全国で英語で保育をしている幼稚園が多くなってきました。これが「インターナショナルプリスクール」です。保育士は英語ネイティブ。補助にバイリンガルの日本人保育士がいます。3年保育でこのようなタイプの幼稚園に行って、その後、普通の日本の小学校に入学します。日本人としてのアイデンティティは失われることはありませんが、幼稚園で話していた英語は数年後には消えてなくなってしまいます。ですから英語力維持のためには、その後も英語学習をコンスタントに続けていく必要があるのです。
英語圏で幼稚園時代を3年過ごしたとしても、英語は忘れてしまいます。小学校2年生から4年生まで3年過ごした人は比較的英語が残っているようです。ではここで、バイリンガルな人々の例を紹介します。以下の例でもわかるようにバイリンガル自身も語学の習得には苦労しています。
■例(1)
一家でアメリカに移住した日本人家族。13歳(男)6歳(女)4歳(男)。15年経った現在、日本語が堪能なのは長男だけ。下二人は完璧に日本語を忘れてしまっているし、アイデンティティもアメリカ人だそうだ。長男は今は日本語で読み書きするより英語の方が楽だという。
■例(2)
現在38歳の女性。彼女は父親の仕事関係で小学校3年生から6年生まで4年間アメリカで過ごした。ところが、日本に帰国後、中学生になるとき、日本語がまったくできなくて、1年間ダブったそうだ。英語の発音は完璧ネイティブである。
■例(3)
小学校5年生のMちゃん。父親の仕事のためアメリカで生まれ育ち、3年生のときに帰国。「英語の方が簡単。だってアルファベットしかないじゃん。日本語は漢字とかひらがなとかカタカナがあって難しい。」と言っている。彼女が英語を忘れてしまわないよう親も努力している。
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