「妻と別れる」を待ってたら35歳に!?
不倫関係が長く続き、結婚・出産が遅れることも |
「ずっと信じて待っていたら、相手に第2子が産まれて、自分が産むには遅い年齢になっていた」と。中には「もう産まないと決心した」という方もいらっしゃいました。相手の男性からは「妻と別れて君を」と言われ続けて、それを信じて、待って、でも離婚はしてくれなくて、「もうこの人とはあきらめよう」と思った時には35歳をとうに過ぎていた……。どれくらいの方が不倫関係を清算できずに初産が遅くなったかというデータはありませんが、相手との結婚の予定調整と初産年齢の関係性は大きいものです。
日本が少子化になっている理由として、「結婚と出産がセットになっている」という側面を指摘する専門家もいます。
フランスやスウェーデンでは婚外子の割合が約50%もあります。これは不倫関係ではなく、結婚制度に沿った手続きをしていなくても夫婦同然の税制優遇などがあるため、入籍していない夫婦たちの出産です。
日本にはそのような制度がありませんし、結婚していないと夫婦として社会的な証明にならないという面が色濃いですから、事実婚などは増えているものの、婚外子の割合は2%ほどです。少子化を改善した先進国の、結婚制度はとてもゆるやかで、カップルの出産支援はポジティブで、子どもが増えています。
20代の中絶理由は「結婚していないから」
結婚ができない相手との子どもは産まないという文化の濃い日本ですから、もし子どもが授かったら中絶をしなくてはならない、という人も少なくありません。日本で人口妊娠中絶は年間30万件以上あり、20歳代が一番多く、中絶の理由は「まだ結婚していないから」だといいます。中絶を希望して妊娠する人は皆無ですので、避妊方法の失敗ということですが、意図しない妊娠や産まない決断はとても悲しいことです。一番苦しいのでは当事者ですから責める気持ちはありません。でも妊娠しても産めないという人と避妊に無頓着な性関係は、結果的に自分の体を傷つけてしまいます。
男性側が「妻と別れるから」と言い続けていた関係性で、本当に別れて待っていた側と結婚した例は本当に少ないものです。嬉しい妊娠を迎えられるカップルが増えることを願ってやみません。
結婚せずに産む決意をした女性の声
ひとりで産み育てる決心は、並大抵のことではありません |
その女性のお母様が「決意したのなら助けるわ。私はあなたが今後ひとりで生きていくのかしらと心配していたのだけれども、一緒に生きていく命がやってきてくれて、よかったじゃない。父親はいないと思って、一緒がんばって育てていこう」と言ってくれたそうです。産んで育てようという決心は並々ならぬものがあったと想像します。
彼女は最後にも「こうしてカップルでお産の準備クラスに参加している人たちが本当にうらやましい」と泣いていました。彼女のお腹に宿った子どもは「このお母さんがいい」という命に違いないので、私はただ命の誕生を喜びます。けれども、彼女が泣きじゃくっていた理由が「やっぱり自分もパートナーが欲しい」という理由であったなら、一緒に育てることはできない関係同士の妊娠は、多くの人が涙を流すことになってしまうのではないでしょうか。
どんなプロセスがあろうと、授かった命を産み育てる決意をしたら、「あなたを授かったときにはお父さんとお母さんは一緒にがんばろうねと言っていた」と話してやるのが、子どもの自己肯定のエネルギーになるのではないかと思います。いずれ「一緒にがんばれなくなってごめんね。」と伝えたり、子どもが成長して、恋愛や「コミュニケーションとしての性」を経験した後であれば、父親である相手の男性との関係性を話した時に、受け入れることができるかもしれません。
判断ができない幼いころは、その子の誕生が丸ごと嬉しかったんだという、ポジティブな面を伝えてあげてほしいものです。子どもが自分の存在を疑問視することがないように、産まれてきてくれてありがとうと伝えられることが大切だと、日々、小学校に出張授業をしながら思っています。
産む・産まないは自由?
子どもを産む、産まないの判断や思想は一人ひとりの自由ですし「この人生で子どもは授からなくていい」という方がいても、もちろんいいと考えています。すべての女性が出産するわけではないし、約4分の1の女性は産みません。男性はまったく産まないのですから、出産をする大人は、男女のうち8分の3の人だけです。だとしても、命が始まる行為は性関係しかありません。すべての生命は性から始まるし、それが不妊治療であったとしても一組の男女からしか、新しい命は始まりません。性は、今の自分たちの関係性の上に、新しい人が産まれてくるという、とてもロマンあふれるダイナミックな冒険です。先進国の中でも中絶率が高いこの国で、幸せな妊娠と出産が増えることを願ってやみません。