途上国での妊娠・出産の現状
出産施設が整わず、教育が行き届かないなかで生まれる子どもたち |
交通機関も整っておらず、出産施設も遠く離れたところにあるため、自宅で産む。出産について学んでいる助産師さんたちもいない環境で産む人が多いのです。エチオピアでは出産時に専門家と一緒に産むことができるお母さんは、100人のうち6人しかいません。教育も行われていないため、お産に関する知識を伝承することができないだけでなく、数を数えることもできず、自分が今、何歳なのかわからない人も大勢いるのです。
男児が生まれるまで出産を続け、9人の子どもがいる23歳の女性もいました。日本でも、太古から世継のために男児を産むことを女性は求められてきていましたが、途上国ではお母さん自身の体が栄養失調であってもなお、産み続けているという現状があります。
途上国でのお産セット
ところで、日本において、お産の時に必要な道具や環境というのはどのようなものでしょう?出産する施設によって差がありますが、清潔なお部屋やベッドで、緊急時に対応できる医療機器などがあり、信頼できる専門家がそばにいることがほとんどでしょう。
途上国では、お産を不浄なものとして扱う地域もあり、そのような地域では暗闇の人目のつかない場所で出産をしています。出産に必要なセットも整っていません。
ネパールでは「必要最低限な分娩キット」というものがあるのですが、トランプくらいの箱の大きさで6つの道具が入っています。1つは安全なカミソリ、2つめが500円玉くらいのプレート、3つめがへその緒を縛る紐、4つめにビニールシート、5つめに手を洗う石鹸、6つめが使用法を表したイラストの紙です。持ってみるととても軽い。どんなに健康に過ごしていても日本に住む私たちがそのセットだけでお産をするとなるととても不安ですよね。途上国では、このようなセットさえも手に入らない人が多いのです。