47%が共働き時代の妊娠観って?
女性にとって具体的に何が不安で、どんなことをしてほしいかを理解することが大切 |
よく女性は30代が近づくと、「このまま仕事か出産か?」と周囲からも焦らせるような質問がされがち。現在日本での平均初産年齢は28.9歳で、「30歳までに子どもを持て」と言うのは、すべての男性に「30歳で起業して社長になれ」というくらいのプレッシャーでしょう。47%が共働きという現代日本で、女性が子どもを宿すにはタイムリミットはあるにせよ、「社会人としての自分に自信が出てから」という働く女性の気持ちは、大人としての子どもへのマナーなのです。「もっと自由にしていたい」というチッポケな先延ばしではなく、上手に子どもを愛するためのレッスンなのかもしれません。
では、具体的にどんなことが不安で、どんなことを夫にわかって欲しいのでしょうか。筆者の開講する妊娠前のクラス・マタニティクラス・産後のクラスで、過去約1000人の参加者から得たアンケート調査で出た「妊娠前の不安と欲しいサポートベスト3」は、以下の通り。
- 経済不安、仕事が再開できるかという不安。子育てしながら働ける就労環境を、夫も味方になって一緒につくって欲しい。
- 夫の育児の協力。仕事と両立するとしても、精神的な支えとなって欲しい。
- 産後の、夫との愛情の変化が不安。子どものお母さんとしてしか扱われなくなるのが不安。いつまでも、ひとりの女性として愛されたい。
仕事を失う不安を知って欲しい
現代は、女性も男性も同じ学歴を持てる国になった日本。しかし、終身雇用制度はなくなりつつあり、なんでも実力主義。仕事を持つ女性は、仕事を失う不安を感じています。仕事を失うということは、経済力を失うこと、つまり人生行動資金がなくなるということ。幸福な大人として、子どもを育てていきたいからこそ、子どもを幸せにする資金も稼げるようになりたいのは愛情です。妊娠出産していくことを先延ばしに先延ばしにしているのは、幸福のため。そして、きちんと経済的基盤をつくりたい、自信を持てるまで働きたいという思いがあるからです。60%の女性が妊娠を理由に退職
妊娠出産と仕事の両立は、徐々にしやすくなってきているのは事実です。産休育休制度を充実させている企業も少なくありません。しかし、ひとたび妊娠すると、まだ60%の女性が妊娠を理由に退職しているのが現状。「寿退社」ならまだしも、「つわりが重症」「産後の育児と現状の仕事がハード」で、両立の可能性は限りなく少ないですね……。働き続けたくても、肩身の狭さに耐えられずストレス退職する先輩の姿も、数多く見てきているかもしれません。産後も仕事を続けたい女性は「ここには戻れないかもしれない」という職場状況の切なさで妊娠を迎えます。その切なさを、夫にわかってほしい!「僕の稼ぎで養うよ」という声も聞こえてきそうですが、超高齢化社会は労働人口として20代~40代女性の就業率を高める政策が組まれます。国は、女性に働いて欲しいのです。
パートナーの男性はぜひ、妊娠前から、彼女の身近な環境整備から応援してあげてください。まずはメンタルサポートから。子育てしながら働きやすい企業のマネジメント例などをリサーチして教えてあげたり、ひとりの人として、仕事を続けたい彼女の未来も応援してあげてください。
日本の女性は世界44位の豊かさ!
国連開発計画の「人間開発報告書」では、日本の人間開発指数(長寿・知識・人間らしい生活水準をはかった指数)は、世界の中で11位です。さらに、日本の「ジェンダーエンパワメント指数」(女性が社会的、政治的、経済的にどれくらい力を持っているかをはかった指数)は、なんと44位!ちなみに43位がメキシコ、42位がウルグアイです。豊かな先進国の中では、著しく低い数値に留まっているのが、世界の中の日本です。この視点から、自分のパートナーの未来を応援すること、共働きの女性を支援することは、国を応援することそのもの。妊娠前から、女性の心身に対して深い理解をぜひ示してあげてください。
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