妊娠の基礎知識/妊娠・出産に関する社会問題

野田聖子氏が妊娠した卵子提供(2ページ目)

不妊治療体験記『私は産みたい』でも知られる野田聖子代議員(まもなく50歳)が、海外で第三者の卵子提供を受けて妊娠し、話題になっていますが、このことで、この妊娠方法は一気に広く知られることになるでしょう。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

体外受精そのものの妊娠率は?

妊婦
「妊娠がゴール」になってしまう人も
若い卵子を使っても、技術的にはこれは普通の体外受精と同じですから、必ず妊娠するわけでもありません。平均的には体外受精の妊娠成功率は4分の1くらいですから、大変なお金を使って挑戦しても結果が出るかどうかは賭けになります。

「妊娠がゴール」となり、赤ちゃんが生まれたときには疲れ切っている人も
法的整備がなかなか整わないことを見てもわかるように、日本人の中には「そこまでして子どもがほしいのか」という見方は根強くあり、そうした非難に耐える覚悟も必要です。

こうした心、身体、経済への負担は非常に重いものです。海外で卵子提供を受けて出産した人の中には、赤ちゃんが生まれる頃にはもう疲弊してしまい、育児の意欲が湧かない人もいると聞きます。妊娠がゴールになったレースを全力で走ってしまった人たちです。

誰にでも身近な高齢出産の悩み

妊娠すればそれでいいのなら、卵子提供は確かに効果抜群。しかしその後の妊娠生活や子育てまで考えると、卵子提供は「ぜひ、おすすめ」とは言えません。

ご本人が(決して夫や、跡取りが欲しいという親族ではなく)、自分の人生にどうしても妊娠が必要だと思ったときの手段でしょう。野田氏は、こうしたことをすべて承知の上で、ご自分の強さを信じて決心されたことと想像します。無事に、ゆとりある心で赤ちゃんを迎えて頂きたいと祈りたい気持ちです。

これを機に、どうしても自然に妊娠できない夫婦が選び得る道にはどんなものがあるのか、もっと知られてほしいし、もっと多くの人が法的整備について考えてほしいと思います。この晩婚化の中で、卵子の老化は誰にでも自分や身内の問題になり得るのですから。
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