正社員として働きたくても難しい時代、このような産めない仕事環境がこのままでいいのでしょうか。派遣労働、パートなどの有期労働にフォーカスしながら労働問題に取り組んできた全国ユニオンの鴨桃代さんにお話をうかがってきました。
派遣で働く女性は、やはり辞めざるを得ないことが多いのでしょうか?
お話ししてくださった鴨桃代さん(全国ユニオン会長)。 |
ところがその後、労働の自由化が起きて正社員の雇用が大きく減り始め、若い人がどんどん有期契約の世界に参入してきました。パートより派遣はずっと若い人が多く、彼女たちは働きながら結婚して、妊娠していきます。そして「妊娠しました」と派遣会社に告げたとたんに「辞めてください」と言われます。
女性でも、急に仕事を失ったら困る人はたくさんいますよね?
夫がフリーターだったある女性は、主に自分が派遣労働で得る収入で生計を立てていました。しかし妊娠に気づいて、会社に告げたところ、契約を1ヶ月を残して解雇されることになりました。
事情を話し、産休直前まで働き、産後も復帰したいと会社に訴えると、会社の担当者は派遣先の会社も辞めさせたいという意志が固まっているし妊娠すれば辞めるのが当たり前だという考え方でした。さらに、面倒を見る自信がないのに子どもを妊娠させるとは、彼女の夫は男としてどうなのか、ということまで言ったそうです。
彼女は中絶を決心して産婦人科へ行きました。すると、そこの看護師さんが話しかけてくれて事情を話したところ「派遣ってそうなのよね・・・」と言ったのだそうです。それで彼女は、自分と同じ立場に追い込まれている女性がたくさんいることを自覚して、「東京ユニオン」という労働組合へ相談に来ました。派遣の人は会社の労働組合に入りにくいのですが、東京ユニオンは誰でも入れる個人加盟型の労働組合。労働組合にはこういうタイプもあるんですよ。やっと来てくださったのは、中絶の予約を入れていた日の朝でした。