9病院で搬送が受け入れられなかった

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大切な救急医療の危機が進んでいます。
8月29日、奈良県橿原市の妊娠中の女性が体調を崩して救急車に乗ったところ、9病院に受け入れを断られ死産という結果を迎えました。その途中で救急車が交通事故を起こすなど、とても大変な搬送だったようです。

死産とたらい回しの因果関係はまだわかりませんが「なぜ、また奈良で?」と思わずにはいられません。奈良県で19箇所に搬送を断られてお母さんが亡くなった事件は、まだ記憶に新しいではありませんか。事件後も改善が進んでいない様子がうかがえます。

なぜ受け入れてもらえないのか?

病院はどんなときに搬送を断るのでしょうか?搬送を断る理由は「分娩進行中の産婦がいた」「帝王切開をしていた」「ベッドがすべてふさがっている」「別の救急搬送がまもなく入るので」などです。

しかし、これだけ産み場所が少ない今、搬送を受け入れる病院はどこも分娩件数が増えています。分娩進行中の妊婦はいつも数人いるくらいが、多くの基幹病院のごく普通の夜です。それで医師やスタッフの手が一杯になっているということは、日常的にこのようなことが起きる可能性があり、危機的状況が慢性化しているということです。

医療訴訟の不安や、判断基準の曖昧さも問題

病院がになかなか受けられない本当の理由は、他にもあるような気がします。ひとつは医療訴訟の問題かもしれません。搬送を受けた妊婦さんがその病院で残念な結果を迎えてしまったら、その病院は訴えられることがあります。

また、搬送を受け入れるかどうかの基準があいまいです。同じ状況でも医師によっては受け入れ、他の医師では受け入れないということもあり得るのが現状です。都市部では、救急を受ける病院がいくつもあるので「ここで無理するよりはもっと余裕のある他院で受けた方がいいだろう」と考えてしまうこともあるようです。

本音を表出して前向きな検討を

今回、搬送を断るという判断をした医師が、本音を言うことも大切だと思います。それは一個人の本音というより、全国の医師に共通する問題としてあぶり出され、どうしたら改善できるか建設的に検討すべきではないでしょうか。

二度もこういう報道がたて続けに起きたのですから、奈良県にはぜひ本格的な調査に乗り出してほしいものです。そして、産科医が少ない中で産み続けなければならない全国の妊婦さんのために、お産の救急現場を立て直す先鞭をつけてほしいです。

妊婦さんも、自己管理をしっかりして

今回のケースでは、妊婦さんにかかりつけ医師がいなかったことも救急車がさ迷うひとつの理由になった気がします。妊娠中に異常を感じたら、まずはかかりつけの医師や助産師にかかり、そこから必要に応じて搬送先へ紹介することも多いからです。

かかっている医師が送り先をなかなか探せないこともありますが、その時点で自分ができることは確実にしておきましょう。妊娠に気づいたらできるだけ早く行動して、かかりつけの医師、医療施設を持ち、基本的な検査もすませておきましょう。

                     イラスト 平井さくら


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