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将来の高血圧に注意(2ページ目)

妊娠中の身体はいつもより内臓に負担がかかり、実は、加齢のシミュレーションをしている状態なのです。妊娠中に血圧が高くなった人は、産後も、将来のために予防策を。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

妊娠中毒症経験者は、体重を増やさないように


具体的な予防法としてはどんなものが有効かを調べた調査があります。平成6年に厚生省研究として中林先生たちがおこなったのですが、看護学校の生徒が自分の母親に聞き取りをして調べました。436回答中、若いとき妊娠中毒症にかかったことがある母親は46名いました。

この約半数に当たる22名が、現在、高血圧症になっていました。全体で見ると高血圧症の人は365人中57人(13%)しかいないので、それはやはり高い率です。しかし、高血圧症にならなかった人も多数いたわけで、その分け目になっていた因子のひとつは、肥満度でした。妊娠中毒症の経験者であるにもかかわらず後年に血圧が上がっていない人たちのBMI(肥満度の指数)は22.9±0.6。高血圧になってしまった人のBMIは24.4±0.9で、肥満度がより高かったのです。

家族に高血圧の人がいる場合は、特に注意 


もうひとつの因子は、家系でした。親やきょうだいに高血圧の人がいる人は、特に注意が必要です。また、赤ゃんがお腹で十分に育たなかった「胎児発育遅延(IUGR)」があった人も、高血圧になりやすくなっていました。

家系は変えられないものですが、体重は変えられますね。このように妊娠中毒症は、今、成人病を予防するためにも、注目されているのです。

なお、妊娠中毒症は、産後からすでに血圧や蛋白尿がおさまらない状態になり、そのまま高血圧症や腎臓病などにかかってしまうことが時々あります(後遺症)。お産が終わっても、決められた健診をしっかり受けて下さい。

<参考文献> 平成6年度厚生省心身障害研究「妊娠分娩と中高年婦人の健康に関する研究-妊娠合併症と中高年の疾患-分担研究:妊娠中毒症と中高年の高血圧に関する研究」


■続きの記事を読む
妊娠中毒症の原因は「免疫」が有力説



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愛育病院院長・中林正雄先生
◆この記事は、名称変更に関わった委員でいらした愛育病院院長・中林正雄先生(産婦人科医)のご指導をもとに構成しました。 愛育病院
<参考資料>『産婦人科治療』(永井書店)2004年5月号「特集・妊娠中毒症とその管理」
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