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ついに逮捕者も!? 不明者年金不正受給問題

高齢者の行方不明問題が世間を賑わせています。年金の不正受給については、ついに逮捕者が出るとの報道もあります。なぜ、父母、祖父母の死亡を隠す必要があるのか考えてみたいと思います。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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ついに逮捕者も!? 不明者年金問題

東京都足立区の事件は、年金を支給していた公立学校共済組合が警視庁に告訴した。国民年金、厚生年金を支給している日本年金機構はこういったケースでどう対応するのか注目したい

東京都足立区の事件は、年金を支給していた公立学校共済組合が警視庁に告訴した。国民年金、厚生年金を支給している日本年金機構はこういったケースでどう対応するのか注目したい

(本記事は2010年8月26日時点のものです)

高齢者の行方不明者問題がマスコミを賑わせています。本当に行方が分からなくなっているケースもあれば、年金を受給し続けるために死亡の事実を隠しているケース等、原因は様々なようです。

年金の不正受給については、ついに詐欺容疑での立件に向けた捜査が大詰めを迎えている事件もあるようで、ついにこの問題で逮捕者が出るのか? といった状況になってきました。

他の行方不明者についても、年金が支給し続けられているケースも少なくなく、逮捕者が続出……なんてこともあるかもしれません。

遺族年金をもらうために、「誰」の死亡を隠す必要がある?

なぜ、年金を受け取り続けるために「父母」「祖父母」の死を隠さなければならないのでしょうか? その理由のひとつに、「成人の子どもに遺族年金の受給権がない」ということがあります。

例えば、「父(80歳)」「母(75歳)」「子(50歳)」という家庭で、「父」の老齢年金のみで生活していたようなケースで考えてみます。

「父」が死亡すると、通常「母」は「父の死亡による遺族年金」を受け取ることができます。遺族年金を受け取れることができる遺族は、

●配偶者(夫は55歳以上)
●子(18歳年度末まで。一定の障害の状態がある場合は20歳まで)
●父母(55歳以上)
●孫(18歳年度末まで。一定の障害の状態がある場合は20歳まで)
●祖父母(55歳以上)

このうちの最先順位者のみ(共済年金は転給あり)となります。上のケースで言うと「母」のみが権利があることになります。

「父」の死亡後は、「母」と「子」が、「母の受け取る遺族年金」で生活をすることになります。その後、「母」が死亡すると、遺族年金は打ち切りとなります。そうすると、今まで年金で生活してきた「子」は困ってしまいます。

ですから、年金を受け取り続けるために「死亡」の事実を隠す場合、上のケースで「父」の死亡の事実は隠す必要がなく(母に遺族年金が出るため)、「母」の死亡を隠す必要があることになります。

年金は自動的には止まらない

しかし、「母」が死亡したからといって、自動的に年金が止まるわけではありません。年金受給者が死亡した場合、年金事務所等に「死亡届」を提出することで、年金がストップされます。仮に「死亡届」が提出されていない場合でも、国は毎年住民基本台帳で生存、死亡を確認したり、「現況届」の提出を求めたりして確認自体はしています。

年金事務所に死亡届が提出されず、市町村役場にも死亡届が提出されていなければ、年金は支給され続けることになるわけです。現況届についても、家族が生存と提出すれば済んでしまいます。

厚生労働省も訪問調査をするようですが、国と地方自治体の協力も不可欠です。さらに我々国民のモラルも問われているのが今回の問題といえそうです。

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