つかみと締めを上手く決めるポイントを教えてください
スピーチは、交響曲のようなもの。「つかみ」のセリフは、スピーチの重要なモチーフの伏線となり、転がっていきます
まず「つかみを上手く決める」には、それぞれの立場で、自分と新郎あるいは新婦との、ふだんの接し方、スタンス、力関係を、冒頭で聞き手に示すことが基本です。
男性主賓であれば、フレンドリーな上から目線で、ユーモアのあるジャブ。女性主賓であれば、親愛の情を、肉親のような目線で今日の感想をのべる。新郎側友人代表であれば、対等の立場で、新郎の最も「男」の部分を立てる。新婦側友人代表であれば、どれほどうれしいのか、気持ちを具体的に表現する。聞き手に、「あ~そうなんだ~」と感じてもらうところから、スタートします。
そして「締めを上手く決める」には……そんな必要はありません。そもそも「締め」という概念に誤りがあります。スピーチは、交響曲のようなものです。「つかみ」のセリフは、スピーチの重要なモチーフの伏線となり、転がっていきます。そして、新郎新婦へのはなむけが、実は「つかみ」でスタートしていることを、聞き手が最後に理解し、喜んでくれるのです。そのあとで、「以上をもちまして~」などと言うのはスピーチの破壊です。
適切なはなむけで挨拶をまとめ、最後はあっさり終わります。だからこそ、さっきまで、楽しい話で楽しい時間を過ごしたことが、聞き手の心に残るのです。
新郎新婦側、どこに目線をおいてスピーチすればいい?
これも、スピーチの立場によって、違います。スピーチ用のマイクは、メインテーブルと会場との中間に向けて設置されます。話し手は、最初ナナメに立つことになります。主賓であれば、聞き手へ向けて話をする時間が多くなりますので、新郎や新婦への問いかけは、顔だけを向けるかっこうになります。冒頭では、必ず新郎新婦に挨拶しますので、ここでは、新郎新婦に向かって立つことになります。
友人代表では、新郎あるいは新婦に問いかけたり、返事を待ったり、新郎あるいは新婦のリアクションを受けて、聞き手に語りかけたりしますので、ややメインテーブルの方を向いて話します。
その仕草をどう段取りするか、といえば、スピーチ原稿が完成した時点で、細かく、アクションを決めていきます。この練習をしないで本番に臨めば、目がうつろな状態で、聞き手にアピールすることが難しくなります。
余談ですが、スピーチにはテクニックがあります。例えば会場を横8の字の目線でなめていくなどですが、素人さんには難しいものです。もし短期間でスピーチの完成度を高めたいならば、プロに相談するのも手です。