子ども部屋のために家を買うという家族の注意点
嬉しいマイホーム。でも無理は禁物
子どもが生まれて家族が増えたので、マイホームを買おうという家族も多いでしょう。前のページの「離婚する場合についても考える」という話に加え、ここでは「暮らし」の点から考えていきたいと思います。
子どもたちとの暮らしは、あと何年?
子ども部屋を確保できるくらいの部屋数の多い賃貸物件は、家賃もそれなりに高いものです(地域差大ですが)。買ったほうが月々の負担は少ないし、自分たちの財産になるから得だという考え方もわかります。長く住むのだから気に入る家を、家族そろって団らんができるような広めのリビングを、子どもたちがのびのびできるように子ども部屋も広めになど、物件選びにも真剣になります。
気をつけてほしいのは、良いものをと望むあまり、背伸び・無理をした買い物をしないようにということです。
子どものために家を買うといいますが、では、子どもたちはその家に何年暮らすのでしょうか。生まれたばかりというなら20年くらいは住みそうですが、小学校高学年になっているのなら「せいぜい10年くらい」です。子どもたちとの楽しい暮らしは、何物にも代えられない貴重な時間ですが、それは期間が限られているものなのです。子どもが巣立った後の広すぎる家に、夫婦2人が残され、高い住宅ローンの支払いを続けていく。そんな暮らしを想像してみましょう。「無理して、背伸びして、住宅ローンを借りる」ということを思いとどまろうという気になるのではありませんか?
子どもの負担になることも
さらに、子どものためのマイホームが、いずれ子どもの負担になることもあります。たとえば相続の際に兄弟のもめごとの原因になることがあります。ほとんどの家庭は相続税の心配は不要なのですが、どう分けるかで喧嘩になることが多いのです。「築数十年の大きな家はあるが、無理してローンを組んだために現金の貯蓄がほとんどない」という状態が、分け方を一番難しくします。
また、マイホームがあることによって、簡単には引っ越せなくなるという覚悟もいるかもしれません。ご近所トラブル、子どもがひどいいじめ被害にあうなど、こちらに落ち度はなくとも、場合によっては引っ越して落ち着いて暮らしたいということもあるかもしれません。でも、持家があると、それは難しいことも。
対策は?
今はたしかに「買い時」ですけれども、そういったマネー情報だけにとらわれず、「不動産を持たないことの身軽さ」と「持っていることの安心感」とをよく考えて、決断してほしいと思います。買うとしても、背伸びしたローンを組まないことです。相続に関しては、生命保険を活用して現金を用意して公平な分割をしやすくするほか、売って分けることを前提にして、売りやすい場所に買うことも一つです。
【参考】
・今年はズバリ、家は買い時なのか
・資産が少ない家庭ほど、相続対策を!
買わないことのリスク
マイホームを買わないことにもリスクが考えられます。たとえば、賃貸の場合、年をとってからも家賃を払い続けなければなりません。これについては、来月の記事で書いてみたいと思います。