腰越:寺社の多い港町、
江ノ島に近づくにつれ商店街も
左側に見える海に突き出した部分が小動岬。反対側に漁港がある
江ノ電の鎌倉市内最後の駅がここ腰越。鎌倉高校前を過ぎ、海から離れた江ノ電は小動岬(こゆるぎみさき)の山側を走り、住宅街の中を抜けて駅に到着します。このエリアには小動岬にある小動神社のほか、江ノ島駅近くにある龍口寺と同じ、龍口山という名称を持った寺院が8箇所もあり、寺社が多いエリアです。これはかつて日蓮宗の開祖日蓮上人が龍口寺にあった刑場で処刑されそうになったものの難を逃れたことに由来しているのだとか。
義経、弁慶ゆかりの地腰越と小さな看板が踏み切り右側に出ていた
また、歴史に詳しい方であれば、源義経が兄頼朝に怒りを買った折、心情を切々と訴えた書状がこの地にちなんで腰越状と呼ばれていることを思い出されるかもしれません。しかし、その甲斐なく、義経は鎌倉入りを許されることはなかったと言いますから、ここ腰越は鎌倉への入り口にあたる場所というわけです。
腰越漁協。地元の魚だからだろうか、このあたりの魚屋さんの価格は驚くほど安かった
腰越には小動岬の江ノ島側に漁港もあります。そのためか、腰越から江ノ島に向かう通りでは魚屋さん、干物製造の店、鮮魚を売りにする飲食店などをいくつか見かけました。シラスが名物ですが、鯵や鰯、カマスなども獲れており、朝市では獲れたての魚を買うこともできます。遊漁船(一般の人向けの釣り船)も多いので、釣り好きには楽しい立地です。
通りの真ん中を走る江ノ電。車はその左右を走り、歩行者は一番外側。左右には古い建物も多かった
江ノ電は腰越駅からお隣江ノ島駅にかけての一部を専用軌道ではなく、路面、つまり普通の通りの真ん中を走りますが、ここは両側が商店街になっています。繁華なとまでは言いにくいものがありますが、それでもかなりの業種が揃い、飲食店なども多数。観光客目当てではなく、地元の人向きの商店街です。
江ノ電の通りから少し脇に入ると、小規模な一戸建てが多い住宅地に
商店街から少し入ると住宅街ですが、このあたりの住宅にはそれほど規模の大きなものはなく、かなり密集しています。一大観光スポットである江ノ島の近くでもあり、商店街もある利便性が高い場所だからでしょう。通り沿いには駐車場や建築中のアパートなども見かけました。
単身者向きのアパートが建築中だった。鎌倉では単身者向きとしてはワンルームよりも1Kのほうが多い
賃貸の供給数もここまでの駅に比べると格段に増えます。中心になっているのはワンルーム~2Kで、マンション、アパートが混在。賃料は古いものであれば4万円~6万円といったところ。江ノ電沿線は古い物件が多いせいか、2K、3Kなどという間取りが目につきます。
駅の周りの住宅密集度では腰越が一番。すぐそこに住宅がある
土地価格は3.3平米あたり90万円前後。比較的コンパクトな区画も出ているので、手に入れやすいかもしれません。
由比ガ浜大通りにある古い建物。街中に、普通にこうした建物があることが鎌倉の魅力のひとつ
海も山も近くにある、歴史の街鎌倉。藤沢までたった10キロの江ノ電沿線ですら、これだけいろいろな表情のある街があるのです。実際に、歩いてみるといろいろな発見があること請け合いです。
今回取り上げたエリアの路線図。幹線道路、主な建物なども目印のために記載。距離などについては概念図のため、正確ではない