中国での犯罪対策
「犯罪は起こるもの」として捉える中国人
警察の見回りが頻繁に行なわれる中国の都市部
中国人が日本を訪れると「町中があまりに無防備でびっくりする」と言います。それだけ日本は平和だということなのですが、ある意味、私たちの“平和ボケ”が、大きな危険に繋がってしまうこともあるのです。
中国は56民族の集合体
ウイグル族の女性。漢民族とは明らかに異なる顔立ちをしている
そもそも、中国は単一民族ではありません。大多数を占める漢民族のほか、少数民族が55種、全部で56種の民族の集合体なのです。民族間の違いは大きく、青い目のアラブ系、白い肌のロシア系、浅黒い肌の東南アジア系と見た目の差だけでなく、言語や文化も大きく異なります。考え方や習慣の違いは、争いを引き起こしやすい……。それは、民族同士の王座の奪い合いが繰り返された、中国の歴史にもよく現れています。彼らは数千年という長い歴史の中で「有事に備える心構え」をしっかりと培ってきたのです。
中国での犯罪対策1
危うき行動は慎む
地下鉄やバスに乗車する前に、荷物の口が開いてないかを再度チェック!
日本の販売員のサービスを中国で求めるのは無理というもの
「目立たない」、「行動を予知されない」、「用心を怠らない」――これが安全対策の三原則です。中国人は観光地や駅など、人が集まる“要注意エリア”に行く際、当座使う現金をポケットに入れて、財布は出さないなどの防犯対策を普通にしています。そんな中国において、分厚い札束の入った財布を人前で広げる日本人観光客はかなり目を引く存在。
列車やバスの中での荷物管理に関しても、つねにバックの持ち手に腕を通す、寝台車ではカバンを枕にして寝る、トイレに行く際でも身内以外に荷物を託さないといった自己管理を行なっていますし、銀行で大金を引き出した場合、たとえ徒歩圏内でもタクシーで移動して追跡を防いだりします。
日本ではショッピングをする際、「お客様は神様」で、店員はそれこそ下にも置かぬような対応で接してくれます。中国も最近でこそ「客は金を稼げる相手」という意識が芽生え、接客態度も格段によくなりましたが、「お客様は神様」だとは思っておらず、客だからといって何をしても許されるわけではありません。中国では値段交渉をした末、店員が客の言い値を飲んだら、購入するのがルールです。もちろん、中国人の中にもこのルールを守らない人がいますが、外国人は何かと目立ちますし、最初から買う気がないのなら、ヒヤカシは禁物です。危うき行動は慎む――これが犯罪防止の基本だと思います。
中国での犯罪対策2
鉄格子と防弾ガラスの町
都市部では一種常識とされている鉄格子付きの窓
北京や
上海などの都市部に行ってまず驚くのは、“鉄格子”と“防弾ガラス”の多さです。銀行や郵便局といった金融機関の窓口は分厚い防弾ガラスで仕切られているので、一般の銃や刃物で強盗を試みても、全く意味をなしません。ちなみに、現金輸送車の警備もものものしく、迷彩服を着用した数人のガードマン(というより軍人)が、自動式の散弾銃を構えて護衛に立ち会います。また、一般のマンションやアパートでも、ベランダはガラス張り、そして1~3階ぐらいの低層階には、ガラス窓を割っての侵入を防ぐために、鉄格子がはめられています。さらにドアは二重になっていて、外側のドアは“防盗門”と呼ばれる分厚い鉄製。カギも一般的に2~3個は設置されています。
中国での犯罪対策3
中学校までは親が送り迎え
特に都市部では、子供が一人で遊ぶというのは皆無
これも都市部の話なのですが、貧富の差が激しくなり誘拐が増えたことと、車社会になった影響で交通事故が多発していることから、幼稚園はもとより、中学校ぐらいまで、保護者が学校まで送り迎えしています。マイカー族が増えたことで、登下校時間になると、学校周辺は“送り迎え渋滞”が発生するほど。中学校はもとより、小学校から一人で通学している日本からすると信じられない風景ではないでしょうか。中国人いわく「“万が一”が起こってからでは取り返しがつかないでしょ。たった一人しかいない子供なんだから(中国は一人っ子政策を今も実施)」とのこと。子供の事件が増加している日本も、見習うべきことがあるのではないでしょうか。
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