中国/中国旅行のトラブル

中国旅行で気をつけるべき時期

順調に経済成長が続き、比較的治安が安定している中国ですが、一年の中で「特に注意したほうがいい」という時期があります。ここでは、具体的な時期だけでなく、「どうして危なくなるのか?」という原因についても詳しく紐解いていきます。中国旅行をお考えの方、必見のページです!

鈴木 晶子

執筆者:鈴木 晶子

中国ガイド

中国の治安、一年で危ない!と言われるのはどの時期?

春節時には各地で伝統的なお祭りが開催される

春節時には各地で伝統行事が開催。写真は北京の天橋雑技劇場による雑技

順調に経済成長が続き、比較的治安が安定している中国ですが、一年の中で「特に注意したほうがいい」という時期があります。まずは、気をつけるべき時期として最も有名な春節(旧正月)から検証していきましょう。

春節(旧正月)前は犯罪多発!

春節

年越しを大事にする中国人に古き良き時代の日本を彷彿させられる

飾り

春節になると町中に飾りものが施される

年越し前はなんだかソワソワと落ち着かないもの。それは中国でも同じです。中国人にとっての年越しは“元旦”ではなく“春節(旧正月)”。ちなみに、日本の正月1月1日は中国語でも“元旦”というのですが、中国は毎年、元旦を迎えたころから、国全体が年越し準備で落ち着かなくなります。

中国人にとっての“過年(年越し)”は一大イベント。その重大さは日本人の比ではありません。最近でこそ、北京上海といった大都市の一部の若者たちが友人と騒ぎながら年越しをする――なんて光景も目にするようになってきましたが、それは極々わずかで、ほとんどすべての中国人が旧正月には実家に戻って、親兄弟や親戚と年を越します。だから、春節直前に“民族大移動”と称される現象が起こるのです。そういった現象をみると、「家族の結束」、「親を敬う心」、「敬老の精神」といった日本人が失いつつある古き良き伝統が、中国ではまだ存在していることを実感します。

春節直前は町全体がなんとなく落ち着かなくなります。そして、問題なのはスムーズに春節を迎えられそうにない人たちの存在です。地方から都市部へ労働に来ている人が故郷に帰るには、汽車の切符やら、お土産やらの“資金”が必要となります。順調に貯金できた人はいいのですが、そうでない人たちは追い詰められてしまいます。

彼らは一年間、春節に里帰りすることを楽しみに日々の労働に励んできたのです。なのに自分にはお金がない……けれど、町は春節ムードが高まっていく……さらに、富裕層は彼らの年収に値する買い物をバンバンしている……。そんなことから、スリや引ったくり、果ては強盗や誘拐といった事件が発生するのです。つまり、春節前に事件が多発するのは、北京上海、広州といった地方労働者の多い大都会です。この時期は、普段よりも更に念を入れた注意を心がけてください。

※春節(旧正月)は旧暦なので、日程は毎年同じではなく、1月下旬~2月中旬の間で変動。旧正月の日程を知りたい人は「Wikipedia旧正月」をチェック。

国慶節は国家の威信をかけた一大イベント!

建国60周年、国慶節の軍事パレードで使われたパレード車

建国60周年、国慶節の軍事パレードで使われたパレード車

春節のほか、中国には年間いくつかの国家的イベントがあります(年間イベントの詳細は「中国の季節(気候・気温)・祝日・イベント」を参照)。その中でも特に注意すべきなのは「国慶節(建国記念日)」です。国慶節当日の10月1日は、中国各地で建国を祝う国家イベントが開催されます。つまり、国家の威信をかけたイベントが開催されるというわけで、“万が一”が起こることを政府はなによりも恐れ、公安機関と武装警察は威信をかけて、暴力犯罪、性犯罪、賭博、薬物、知的財産権の侵害といった治安を脅かす諸問題に対して取り締まりを行ないます。

この時期は飛行場や各駅、各観光スポットなどで荷物検査が行なわれたり、歓楽街へ捜索が入ったりします。そういった意味で、犯罪者はなりを潜めるでしょうが、万が一の手違いで、検挙される側になってはたまりません。特にこの時期は、怪しい店に出入したり、誤解されるような行為は慎むようにしましょう。

政治的な記念日は“静かに”が無難

革命

政治的な記念日には普段とは違う緊張感が漂う

天安門広場の中央に位置する人民英雄記念碑

天安門広場の中央に位置する人民英雄記念碑

国慶節以外にも、反帝国主義を掲げる大衆運動「五四運動」が発生した5月4日(1919年)、「天安門事件」で流血騒動が起きた6月4日(1989年)、盧溝橋事件が起こった7月7日(1937年)、日本の終戦記念日、中国の「対日戦勝記念日」である8月15日(1945年)、「抗日戦争勝利記念日」の9月3日(1945年)、満州事変の発端となった「柳条湖事件」が起きた9月18日(1931年)、「南京大虐殺」の12月13日(1937年)といった政治的要素のある日にちは、派手な行動をとらないのが無難です。2012年、尖閣諸島をめぐる反日活動が9月18日を意識して起こったことは記憶に新しいと思います。十年以上も昔の話ですが、6月4日の深夜、数人の外国人が酔っ払って天安門広場に乗り込み、彼ら特有のジョーク(政治的な意図は全くなかった)で「フリーダム!フリーダム!」と叫んでバカ騒ぎしたのですが、その数日後、彼らは国外退去処分となって国に帰っていきました。外国ではジョークで片付けられる行為でも、中国ではそうならないことが多々あります。政治や思想といった中国にとっての“敏感商品”は、笑い事ですまされません。外国なんだという意識をもって、軽率な行動は控えるようにしましょう。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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