それぞれの道へ進もうとする妻、そのとき夫は……
夫からの自立へと走り始めた妻。そのとき夫は、家族を取り戻そうと走り始めた |
「別居して冷却期間をおくということも考えましたが、私と息子にとっては、これがベストの選択だったと思います。今までのように家に閉じこもっていれば、いろんなことを考えてしまうし、夫の目に見える形で、夫からの自立をアピールしたいとの思いがありました」。
「夫からの自立……?その先にある選択肢は、『離婚』ということなのでしょうか?少し急ぎすぎているような気もしますが?」ガイドがそう問いかけると、奥さんの表情は曇り始めました。
「まだそこまで考える心の余裕もないのですが、私は走り始めてしまいました。いずれ夫ともきちんと話しをするつもりです。でも、走り始めたことによって、私の心はずいぶんと楽になりました」。
数日後、ガイドはこれまで奥さんが抱えていた悩みや苦しみ、そして現在の心情を、奥さんの了承を得た上でAさんに説明しました。年末年始、落ち着いて気持ちを整理できたせいか、Aさんは淡々と答えます。
「全ては私の責任です。妻の深い苦しみに、夫として気づいてやれなかったとは……。恥ずかしいかぎりです」。夫婦というものがこんなにも脆く、壊れやすいものだったとは、仕事一筋で頑張ってきたAさんにとって想像もしていなかったことのようです。
しかし、Aさんが情熱を燃やし続けた仕事も、夫婦や家族が幸せに暮らしているというベースがあってのことだと、ようやく気づいたようです。「この数ヶ月、仕事に対する意欲が沸きません。それはそうですよね。家庭内がこれだけゴタゴタしているのですから……。今まで仕事を頑張ってこれたのは、妻や息子の笑顔、『幸せな家庭』という精神的な支えがあったからなのですね」。
熟慮の後、Aさんは再び夫婦を取り戻すことを決意したといいます。「妻はもう走り始めてしまっています。今の私には、引き止める資格があるのかどうかわかりません。しかし、今度こそ真剣に妻と話し合わなければならないと思っています。私は、なんとしても夫婦を、家族を取り戻したい。そのために出来ることは、どのようなことでもするつもりです」。
いつの間にか共に歩むべき方向を見失う……
1年以上もの間、夫婦は互いにすれ違い、大切なものを失ってしまいました。それはお互いを信頼するという夫婦の根幹にあるべき心です。もう少し真剣に妻の話に真剣に耳を傾けていたら、もっとストレートに自分の悩みを夫に打ち明けていたら、もしかしたらここまで事態が深刻化することはなかったのかもしれません。お互いの考えを主張し、話し合い、価値観を認め合う時間を、あまりにも大切にしてこなかったばかりに、いつの間にか夫婦が共に向かうべき方向を見失ってしまったとも考えられるのではないでしょうか?
その結果、妻は自立への道を走り始め、夫は夫婦を再生するために走り始めることになりました。この原稿を書き終える直前、Aさんのもとへ再び連絡をしてみると、未だに話し合う機会はないといいます。夫婦再生への道程は果てしなく長く、時間が必要なのかもしれません。
しかし、二人が共通して心配していることが一つあります。それは「子供の心のケア」。小学校入学前後の大切な時期に、一番辛い思いをしているのは子供だという思いが双方にある以上、ガイドはこのご夫婦が、もう一度同じ道を歩き出す日が来ることを願って止みません。
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