「早く着替えなさい!」と言うだけでは、子どもはなかなか動きません。大事なのは「子どもがひとりでできるための環境」が整っているかどうか。服選びの工夫やポイントについてお話します。
こんなシャツなら、ボタンかけの練習に。でも、「ボタンは大きめに」が鉄則です。

子どもの「じぶんで!」をどう手助けする?

入園すると、朝の準備に時間がかけられない。そんなときに子どもが「じぶんで!」と、のんびり着替えをしていると、バスの時間が気になってどうしてもイライラ・・・。予想される、4月の朝の風景です。

時間がないときは、親がさっさと着せてしまいたい。でも、園では子どもがひとりで着替えなければならないから、ひとりでできる習慣をつけさせたい。このジレンマの中で悩んでしまいがちです。

「早起きして準備の時間を充分にとる」というのももちろん大事なことですが、それ以外にも「子どもがひとりでやりやすい環境を整えておくこと」が重要です。

自立のためのいい環境を用意してあげるのが、私たち大人の役割ですクライ・ムキ『自立を助ける子ども服』 より)」というのはモンテッソーリ教育の主張のひとつですが、このことを日常生活の中で具体的に実行していくには、どうすればよいのでしょうか。

自分で選ぶ?どこから出してくる?

子どもに「早く着替えなさい!」と言っても、ボーッとしているだけ・・・そんな経験はありませんか?子どもを動かすには、「何から始めればいいのか」がパッと見て分かるようになっていることが必要です。

まずは、前の日の寝る前に「明日着る服」を肌着から靴下まで、ひとまとめにしてわかりやすくしておくことから始めてみましょう。「明日の朝に起きたら、こうしてこうしてこうする」というイメージを子どもに持たせるのです。

また、制服なら分かりやすいのですが、私服の場合は「どうしてもこの服でなきゃいやだ!」という子どもも多いもの。自分で選びたがる子の場合は、「今、着られる服だけをタンスにしまう佐藤よし子『子育て整理術』 より)」という工夫が功を奏します。オフシーズンのもの、穴が開いたり破れたりしているものは別の場所に収納しましょう。

これらの方法で、「服を選ぶ・準備する」は前夜のうちに終わらせておき、当日朝は「着替える」に専念できるような状況をつくっておくことが大事です。

子どもの服選びの注意点

「ひとりで着替える」を応援するためには、服そのものについてチェックしておくことも大事です。

子どもは皮膚感覚が敏感です。肌着のチクチク感や靴下の刺繍のデコボコを不快に感じたりして「なんだかこの服、いやだな」と思ってしまうこともよくあります。特に肌の弱い子どもの場合は、肌着の内側のタグや素材、古くなって表面がゴワゴワしていないか、などをチェックしておきたいものです。

また、「ボタンをかける」「ひもを結ぶ」などの手先の練習は、子どもにとっては「挑戦してできるようになる」という経験が得られるいい機会なので、ぜひともやらせたいもの。制服など、毎日同じ服を着る状況なら、無理なく学んでいけそうですね。

それから、もうひとつチェックしておきたいのが「服の前と後ろが分かるようにする」ということ。無地の服だったら、前に小さなワンポイントをつけるなど。例えば「園のスモックに各家庭でアップリケをつけること」が必須になっている場合もありますが、これもこうした点から考えられていることだと思います。

入園前には、完璧にできなくて当たり前

もちろん、ここに書かれていることを実行したからといって、子どもがすぐスムーズに動いてくれるわけではないでしょう。できる範囲で親が環境を整えて、後は子どもの成長を待つ。実行は難しいですが、これが理想です。

そもそも、園生活とは「入園までにこれだけはできなくちゃ!」というものではないはず。「入園すると、新しい、楽しいことがいっぱい!」というこれからの成長の場なのです。

入園前にはいくら言っても自分で動かなかった子も、園でお友だちのやることを見ているうちに自然とできるようになるもの。安心して待っていてください。
入園は「ゴール」ではなく、「スタート」なのですから。



■参考文献■
クライ・ムキ『自立を助ける子ども服』文化出版局
佐藤よし子『子育て整理術』PHP研究所

■関連リンク■
養護学校での持ち物の工夫は、幼児向けにも参考になります
 → 障害を持つ子と学校【育児の基礎知識】
春は「早寝早起き」を始めるチャンス!
 → こうして子どもを早く寝かせる!【幼稚園・保育園】
入園に向けての心の準備、できてますか?
 → 入園前の心構え【幼稚園・保育園】


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