第3部:「科学する心を育む」ための実践事例と
家庭に向けた具体的なアドバイス
ソニー幼児教育支援プログラムで受賞した日本全国の幼稚園・保育園の具体的な実践例を通して、子どもの素直な姿から「科学する心」を学びます。 「風ってすごい。あんなに高くまで。」 「私なんにもしてないからね。手品みたいでしょ」 「風って見えないけど見える。」 |
春の大風の日、割り箸にスズランテープを付けて外に飛び出しました。テープの動きに子ども達の視線が集まります。
*スズランテープ: 梱包などに使うカラフルなビニール紐
「土の中って深いんだね」と、抜けた後のだいこんを観察していました。 |
種まき・水やり・間引き・草取りなどを経験し、いよいよ収穫です。その間、雨の水、太陽の光など、自然の恵みのありがたさ、食べ物を育てる時には退治しなければならない虫がいることも知りました。
抜く時に強くひっぱりすぎてしまい、ぽきっと折れてしまった子どももいましたが、「次はきっとうまくいくよ。ゆっくりゆっくり周りの土も柔らかくしてからね」と、教師のアドバイスを受け、強く抜くのを我慢し、無事に抜くことができました。
そして、収穫した大根は、給食のけんちん汁の具になりました。白かった大根が透き通ったことに驚きながらも、子どもたちは大喜びでした。
「その線は何の線ですか?」「車の道!」「電車の線路!」 |
色々な箱を出してきて、乗り物を作り始めます。箱やストロー、ペットボトルを探して作り、壊しては作るを繰り返します。一生懸命車作りに励みますが、思うようにいかないこともたくさん出てきます。何回もやり直し。
一方、ビニールテープで廊下に線を引き、車の走る道を作り始めます。子どもがどんどん増え、「電車の線路だよ」と言う子どもも。
ビニールの線が、道路になったり、線路になったりしているのです。子どもたちのそれぞれの思いを受け止めていくことが教師の役割です。
「あれ?僕のノコギリも熱いぞ?」「つかったからじゃない?」「太陽のせいなんじゃない?」 |
園にできる池に鳥を呼ぼうという思いから、鳥の巣箱作りが始まりました。「夏に来るのはどんな鳥なんだろう。」のこぎりで木を切るときは、2人で協力します。
大人が使う道具でも安全性に注意しながら使わせてみましょう。生活につながるものを作ることとそれに役立つ物のしくみがつながって理解できることから、道具への不思議、物の不思議という科学する心がうまれるのです。
・・・・などなど、家庭に向けたアドバイスも満載です。