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出生率1.13韓国における子育て事情(2ページ目)

先日、神戸親和女子大学主催の国際幼児教育フォーラムが開かれました。中国の子育て事情に引き続き、今回は韓国のM.ムン氏(韓国保育教育研究所)が発表された出生率1.13に対する子育て支援策をご紹介します。

上野 緑子

執筆者:上野 緑子

幼児教育ガイド

最後に、今回のフォーラムのコーディネーターをされていました神戸親和女子大学教授の横山ひろみ先生にお話をうかがいました。

中国、韓国、日本の子育て事情における共通点と
中国、韓国における育児支援策

「中国では国の政策によって一人っ子になっています。一方で日本と韓国では少子化傾向により、子どもの数が減少しています。中国と、日本、韓国は、その背景は違いますが、結果として、子ども達は少ない人間関係の中で育っています。

人と人とのコミュニケーションの欠如、自己中心的で、心と心の交流ができにくい、そんな子ども達の欠点を補完するため、中国では子どもに「愛」を教える教育に重点を置いて、実践に移しておられます。子ども達の心の中に、自分が愛されているという実感とともに、感謝と人を思いやる気持ちを自然に湧き立たせる、そうした具体的な実践報告にはとても感銘を受けました。私達はそうした試みから大いに学ぶことができるでしょう。

また、韓国は、未来に羽ばたく子どもを支える、という一つの目的のために、省庁が枠を超えて連携し、子育て支援策を作り、国を挙げて取り組んでいます。多様できめ細かな支援策、そして力強い経済支援は特に印象的でした。

また、中国では男性も家事を行うことも多く、特に子どもができると、子育てなども喜んで行うというお話は、少し驚きを持って受け止められました。

子どもが幼い間は、『母親が傍らにいてやった方がよい』という考え方や、『しかし若い世代ではさほどそれを重視しない傾向も見られる』、などとそれぞれ意見が出されましたが、子どもも大人も幸せな未来に向かって進めるような社会であってほしいものです。


日本の育児支援における今後の課題

日本においては、子育てのために経済的な支援に加えて、2種類の支援が必要とされていると思います。仕事と家庭の両立支援と、家庭での孤立した子育てに対する育児支援です。両立支援としては、親が子どもと共に過ごすことの重要性から、韓国のような育児休暇の拡大や、子どもを持つ親に対して、短時間勤務正社員や在宅勤務などの制度が浸透することが望まれます。

また、育児支援としては、本学の中橋先生が述べられたように、親と子を暖かく包んで見守ってくれるような、「場」が近隣のあちこちにできることが望まれます。

今後は、中国では一人っ子が2世代、3世代と続く中で、愛を育む教育によって心豊かな子ども達が育っていきますように、そして日本と韓国では、子どもがもっと生まれ、社会からやさしく見守られながら子育てができますようにと願っています。今度また私達がお会いして、それぞれの国の幸せな子ども達のその後の姿を報告し合えることを、今から楽しみにお待ちしております。」


『次回講演会・シンポジウムのご案内』
テーマ:「大学と自治体の連携をどう進めるか ―とくに子育て支援をめぐって―」
日時:2007年7月13日(金)16:00~18:00場所:神戸親和女子大学三宮サテライトキャンパス(JR三宮駅前 ミント神戸17階)
講師:矢田立郎 氏(神戸市長)、白井文 氏(尼崎市長)、清原桂子 氏(兵庫県理事)野上智行 氏(神戸大学長)
コーディネーター:山根耕平 氏(神戸親和女子大学長)
お問い合わせ:conso-hyogo-c@kobe-shinwa.ac.jp



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神戸親和女子大学
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