早期教育の問題点
3歳までに脳の重さが急激に重くなることは確かだけれど、機能も発達するわけではない
3歳までに脳の重さが急激に重くなることは確かであるが、神経細胞の網である脳の「構造」ができるだけであって、「機能」が発達するわけではないと言います。
また、脳が未成熟なうちに特定の情報を送り込みすぎると、のちの学習のために残しておかなければならない領域まで使ってしまうのではないかとの意見もあります。乳幼児は感動したり、体験したりする広義の学習活動がその後の脳の発達に影響するのです。
■カード教材を使った記憶
記憶は関連情報などと結びつけてインプットされている場合、再生されやすいのですが、それが不十分であり、しかも覚えるという本人の自覚がない記憶は時間の経過とともに再生は困難になるのではないかと言われています。
■本来の遊びと早期教育の遊びの違い
子どもは遊びの中で創造力・想像力を豊かにし頭脳を活発にするため、思考力が発達します。また、集団で遊ぶことによって規則という概念を持ち、社会性を学ぶことができます。そして、子ども同士の接触と衝突により仲間の気持ちがわかるようになるなど多くのことを学びます。
早期教育も遊びを取り入れた教材を開発していますが、本来の遊びと早期教育の遊びでは本質が違います。遊びは本来、自発的に作り上げていく世界であるのに対し、早期教育の場合は準備された活動を受動的に受け入れることで成立する世界です。また、集団遊びが減ることで協同作業が苦手になる危険性もあり、協調性のない子どもに育っていく危険性もあると言われています。
■自主性の抑圧
早期教育はパターン化され、それに反応するという受け身の学習・訓練が多いと言われています。そのため、子どもは自発性・創造性の領域の発達が抑圧され、受け身的になってしまう危険があります。
■自己肯定感の喪失
親の期待に応える子は良い子で、期待に応えられない子は駄目な子というように自己肯定感が失われたり、大人を喜ばせるために努力するなど自分らしさを失う危険性があると言われています。
■知能指数IQは相対評価
早期教育機関ではIQが高いことで子どもが評価されることが多いのですが、IQとは「intelligence quotient」と言って「知能年齢÷実年齢×100」のことで絶対評価ではなく、相対評価なのです。そのIQを高めるためのパターン教育は、考えずに機械的に答えていくことで、頭の回転は速くなっても、思考力が高くなっていくかは疑問視されています。
■人間性の欠如
早期教育には、「もっと早く、もっと高く、もっと正確に」という基本原則が存在し、目に見える事柄のみを重視し競争原理が働き、目に見えない「心が育つ」過程をおろそかにしているのではないかと危惧されています。