少人数制と、大学までの一貫教育
「関関同立」と呼ばれる関西の人気4私大の小学校設置が相次ぎ、関西でも「お受験」ブームが本格化してきました。2006年4月に同志社と立命館の小学校が、続いて、2008年に関西学院の小学校が、2009年に関西大学の小学校が開校される予定です。
少子化が進む中、大学は生き残り競争が激しくなってきています。そこで、「関関同立」は、附属小学校を作り、早い時期からのファン作り、優秀な生徒の確保に乗り出しました。
各小学校とも、1クラス30人の少人数制と、大学までの一貫教育をうたい、既存の小学校との差別化を図っているのは共通ですが、今後、教育方針、教育環境などで、「関関同立」内での差別化も図っていこうとしています。
選択肢が広がった学校選び 我が子に合った学校を選びたい |
似た価値観の友達の中で学校生活を送って欲しいという親もいれば、違った価値観の友達の中でたくましく育っていって欲しいという親もいるでしょう。
そういう意味でも今回の、「関関同立」の小学校開校により、関西でも新たな選択肢ができたということは望ましいことではないでしょうか。
入試傾向や選考基準が見えない中での受験準備
京阪神の塾業界でも、早速、小学校受験対応に乗り出し、幼児対象の教室を開いたり、小学校別の受験コースを作ったりと動きが活発化しています。
浜学園は、小学校の「お受験」にも参入し、1歳から小2までを対象とした幼児教室「はまキッズ」(京都市)を7月に開設し、アップ教育企画でも、幼児教室「こどもカレッジ」(西宮市)で小学校受験コースが開始され、京進も小学校入試専門教室「ぷれわん」(京都市)が11月に開設されます。
しかしながら、肝心の入試傾向や選考基準が見えない中、塾側は手探り状態で苦心しているようです。各学校はどのような子ども達を受け入れたいと思っているのでしょうか。
関西学院、関西大学の小学校は2008年以降の開校ですので、まだ、学校の詳細な特色は見えてきませんが、同志社、立命館は、学校の詳しい情報が明らかになりつつあります。ここで、現段階での各学校の特色をご紹介しましょう。
同志社小学校<2ページ目>
立命館小学校<3ページ目>
関西学院小学校(仮称)<4ページ目>
関西大学小学校(仮称)<5ページ目>
同志社小学校の場合
校舎外観イメージ 自然が豊かで風光明媚な岩倉の地域に配慮し、周囲の風景に溶け込むような威圧感のないものとなっている |
2006年、同志社小学校は、現在、同志社高校のある京都市左京区岩倉校地に開校します。規模は1学級30人3クラスで、1学年90人程度を予定。同志社中学校の岩倉校地への移転を見据え、同志社小学校を岩倉校地北グラウンドに設置することで、岩倉校地に小学校、中学校、高等学校が同一校地に揃うことになります。
★ 新島襄が熱望していた幼稚園から大学までの一貫教育の完成
同志社英学校を創設した新島襄が熱望していたキリスト教主義を徳育の基本とする幼稚園から大学まで一貫した総合学園としての教育体制がここに完成します。同志社では教育理念として、キリスト教主義、自由主義、国際主義を標榜し、当然ながら小学校教育においてもこれらの理念は基本理念として教育のもっとも根幹に置かれることになります。
★ 毎日20分の英語授業と「本物」に触れる授業
カリキュラムの特徴としては、国際主義教育を実践するため、毎日20分の英語授業があるなど英語を大胆に取り入れた教育が行われます。また、同志社大学の教員による授業や、大学生による実技指導など「本物」に触れる機会が数多く設けられています。
校舎内部イメージ 全体の3分の1の面積に相当する広大な自由空間が配置されている |
★ 知徳体をバランスよく育てる2階建ての低層校舎
さらに、知徳体のバランスを育てるためにも、2階建ての低層校舎とすることにより、児童が短い休み時間に広々としたグラウンドで伸び伸びと体を動かすことができるよう配慮されています。また、異なった学年が同じフロアーで生活することにより、学年を超えた交流が自然とおこなわれ、地域の中で減少しつつある縦社会を学校の中で生み出すことも期待されています。
★ 安全と安心のための対策
また、敷地および校舎の入口に隣接して門衛所や校務センターを配置し、その前を通過しないと内部に入ることができない構造になっており、教室には警報装置等を設置し、外構・校舎・教室の3つのレベルで安全対策が施される予定です。万が一緊急事態が生じた場合も、オープンスペースがガラス張りの中庭に面した正方形の見通しの良い校舎の構造は、死角が少なく、避難すべき経路などを確保するのに有効となります。
★ 2006年度 児童募集要綱
● 新1年生募集人員:男女合計90名
出願期間 2005年9月5日(月)~9日(金)
1次試験 : 女子は2005年10月8日(土) 男子は2005年10月9日(日)
2次試験 : 2005年10月15日(土)・16日(日)
● 新2年生募集人員:男女合計60名 新3年生募集人員:男女合計60名
出願期間は、共に、 2005年12月5日(月)~9日(金)
同志社小学校
同志社
同志社の一貫教育
立命館小学校の場合
通常の普通教室の約2倍の広さを持つオープンスペース型教室 |
★ オープンスペース型教室や最大級のメディアセンター
普通教室は、通常の教室の約2倍の広さを持つオープンスペース型教室で、授業の内容によって仕切ったり、複数クラスで使ったりすることも可能。
小学校の図書館としては国内でも最大級、3万冊以上の蔵書スペースを持つメディアセンター |
小学校の図書館としては国内でも最大級、3万冊以上の蔵書スペースを持つメディアセンターでは、同時に3クラスが読み聞かせや調べ学習の授業を行うことが可能です。また、無線LANを活用し、センターのどこでもインターネット等を活用して調べ学習をすることができます。
また、理科室2室に加えて「博士の部屋」「ロボットの部屋」という「おもしろ実験室」2室を設置し、「博士の部屋」では大学教員やサイエンスの専門家のサポートにより楽しい実験ができるようになっています。
★ 食育の観点を重視した給食
給食は食育の観点を重視し、栄養面、食材、衛生面などを重視し、大津プリンスホテルより保温・保冷専用コンテナーにより専用トラックで運ばれます。栄養バランスはもちろんのこと、食材についてもアレルギー対策など配慮もあります。
★ 安全と安心のための対策
複数の警備員を配置し、防犯カメラ・赤外線監視システムを設置し、部外者の校内への出入りを監視し、校舎内には多数の防犯ベルを設置し、緊急時に素早く全員に連絡ができるシステムが導入されます。さらに、交通機関と連携したICカードによる登下校管理システムを導入し、登下校中の児童の安全を確保します。
★ 2006年度 児童募集要綱
● 新1年生特別専願 募集人員 約40名
出願期間 8月24日(水)~ 8月26日(金)
● 新1年生一般 募集人員 約80名
出願期間 9月12日(月)~ 9月14日(水)
一次試験 9月24日(土)・25日(日)のいずれか1日
二次試験・親子面接 9月27日(火)~29日(木)までのいずれか1日
● 新2年生 募集人員 約120名
出願期間 10月24日(月)~10月28日(金)
● 新3年生 募集人員 約120名
出願期間 11月 7 日(月)~11月11日(金)
立命館小学校
立命館大学
関西学院小学校(仮称)の場合
宝塚ファミリーランド跡地にできる 関西学院小学校の外観イメージ |
★ 兵庫県内の私立小学校に在校中の児童の編入はできない予定
校舎は赤屋根瓦でクリーム色の外壁のスパニッシュ・ミッションスタイルで統一する予定で、敷地は約13,500平米。初年度は、1~3年生の募集を計画していますが、兵庫県内の私立小学校に在校中または在校したことのある児童の編入はできない予定です。正式な内容は、兵庫県への設置申請の承認後、すみやかに発表されます。
★ キリスト教主義に基づいた一貫教育
小学校設置に際し、関西学院は「建学の精神に立ち返る」ことを強調しています。生涯を通じての人間形成こそが、関西学院創立者ランバスが目指したビジョンであり、キリスト教主義に基づいた一貫教育によって関西学院の教育的使命をより具体的に実現します。
キリスト教主義による人間性、感性、倫理観、人間観、健康意識、国際性を醸成しうるカリキュラム構築と、聖書、読書、体育、英語、芸術といった関西学院の中学部・高等部・大学が大切にしている教育展開を意識して、これらを可能にする教員スタッフの確保に向けて準備が進められています。
★ 女子も一貫教育へ
また、現在男子校である関西学院中学部・高等部も、小学校の卒業生が出る時期をめどに、女子も一貫教育で受け入れられるよう、兵庫県の認可を得る方向で学内で検討しています。
関西学院小学校
関西学院
関西大学小学校(仮称)の場合
関西大学 新キャンパスイメージ JR高槻駅前にできる30階建ての高層ビル |
関西大学小学校(仮称)は、JR高槻駅北側に、2009年の開校を目指します。規模は1学級30人2クラスで、1学年60人程度を予定。
今回の構想は、単に小学校の開設だけに留まらず、本学の将来像と新たな社会貢献の視点から、超高層ビルを中心とする同一キャンパス内で、幼稚園から大学院、さらには社会人教育まで実現しようという、恐らく世界でも初めての大規模な構想です。
★ 特色ある英語教育と情報教育
教育方針としては、グローバルに活躍できる人材養成を目標とし、幼稚園から大学院まで徹底した英語教育を行うなど、関西大学の教育理念である「学の実化(じつげ)」、すなわち理論と実際との調和を旨とする実学教育に力点が置かれています。情報教育については、同じ高槻市に所在する関西大学総合情報学部の先進技術を活用します。
★ 一貫教育の特性
現在、関大は近隣都市の小、中、高校に教員や学生を多数派遣し、地域の教育委員会や教育センター、各学校の先生との連携による多様な活動に取り組んでおり、その実践の成果がたいへん高く評価されています。新キャンパスでは、こうして蓄積された経験を一貫教育における各学校間の連携に効果的に発揮できるものと思われます。
★ 市民に開かれたキャンパス
地域貢献の観点から、災害時の避難場所など地域の防災拠点の役割も担います。「街の中心に位置する利便性」と「人に優しい豊かな教育環境」の両立を図ります。
また、大学から市民への知の還元として、生涯学習の拠点となるよう、学舎内に生涯学習センターを設け、各種のプログラムを提供し、市民に開かれたキャンパスにする予定です。キャンパスの規模としては、敷地面積約1万平米、学舎は30階の超高層ビルと防災センター機能を有する体育館が中心になる予定です。
関西大学小学校
関西大学