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事件が大教大附属池田小学校の入試を変えた(2ページ目)

児童殺傷事件が起きた大阪教育大学附属池田小学校の入学試験が1月の末に行われました。従来までとどこが変わったのでしょうか。学校の現状と附属小学校の特色、使命もご紹介します。

上野 緑子

執筆者:上野 緑子

幼児教育ガイド

(2)平成13年6月8日の児童殺傷事件に関して

現在の安全管理について

(ハード面)
出入り口を1箇所にして、警備員を常駐し、来校者のチェックをしています。200個(1個室に2個)の非常ベル、8台のカメラを設置し、非常事態の発生を事務室、教官室へ知らせることができるようになっています。

(ソフト面)
安全管理に関するマニュアルを作り、毎日の自覚が大切であることを認識しています。

そして、学校の安全管理で重要なことは、ハード面とソフト面の両者の充実が必要であるということを発信し続けていくことが責務だと感じています。

本校の現状と課題

事件から半年以上過ぎた今も尚、制服を着る事ができない、見ることすらできない子ども達がいるため、制服の着用を再開できない状況ですが、校舎に関しても同じことが言えるわけです。しかし、現在、この仮校舎を建てている土地は財務省の土地なので、いずれ返さなければならず、伝統ある校舎をどう改築するかなど、さまざまな課題が残されています。

さらに、設備の面でも、体育館とプールが無いため、雨が降れば体育ができず、また、児童全員を一箇所に収容することができないので、始業式などの式もできない状況で、小学校教育をするにあたっての不十分さを感じています。

また、事件の恐怖から立ち直ろうとしている子どもの心のケアをするために、大学の先生を中心としたメンタルサポートチームが常駐していますが、事件の子どもへの影響はあまりにも大きく、現在、教師たちは、試行錯誤を繰り返しながら、努力しているという状況です。ですから、以前のような闊達な教育をする段階には至っておりません。その点に於いて、ご理解とご協力を賜りたいと思います。

(3)入学調査について

1.前年度の募集人員、志願者数、合格者数について

募集人員114名のところ、志願者数は393名でした。

2.入学調査方法について

面接実施日(平成14年1月24日)

入学調査日(平成14年1月27日)

第1調査(主に筆記) 
知識・理解・思考力等を主な観点とします。

第2調査(実  技)
表現力・関心意欲態度・創意工夫等主な観点とします。

第3調査 (行動観察)
協調性・社会性・人間関係等を主な観点とします。

3.判定調査基準について

面接、第1~3調査を総合的に判断し、適格者を決め、抽選によって合格者を決定いたします。

以上が、保護者説明会において、先生方がお話された内容です。

子どもの面接と入学調査に関しましては、従来と同じような方法で行われたと思われます。

面接(1月24日)

男子、女子別々の時間帯に、それぞれ、6つの教室で、4人ずつのグループごとに面接が行われました。

その面接時の質問内容は、グループによって異なりますが、例えば、次のような質問がありました。

・お父さんの好きなところは、どんなところですか?
・家族でどんな遊びをしますか?
・魔法が使えるとしたら、何をしたいですか?
・ドラえもんの道具の中で、好きな道具は何ですか?
・好きなTV番組は何ですか?
・幼稚園で何をして遊ぶのが好きですか?

入学調査(1月27日)

お話の記憶やシーソーの問題などの筆記テスト、リズム、ボールの的あて、工作などの実技、大きなボールを使ってグループで遊んでいるところを観察される行動観察による入学調査が行われました。

合格者数114名に対し志願者数は約430名ということで、倍率は約3.8倍でした。

附属小学校への受験を考えている方は、ただ単に附属だから受験するというのではなく、教育大学附属小学校の特色、使命などを十分に理解した上で受験に臨んでいただきたいと思います。

このことは附属の受験に限らず言えることです。受験校を決める時は、名前や偏った先入観で判断せず、学校の特色や校風を自分の目と耳で確かめ、判断していただきたいと思います。





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