次に、こんなに魅力いっぱいの雅子さまが受けられた小和田家の教育方針について、ご両親はどのようにおっしゃられているのか、ご紹介しましょう。
「子育てに自信なんてまるでございませんでした。長女は、どちらかといえばおおらかな性格だったので、あまり学校でいじめられるということはないようでした。
それでも、『○○ちゃんに、いじめられた。』と、言ってくることもあり、『絶対にあなたは、そういうことはしないでね。』と言ってきかせました。
親が子どもを理解している、信頼しているということを、気持ちの中だけはでなく、具体的に行動に移すことによって、子どもたちに分からせたいと思っておりました。まあ、子どもはやる時がくればやるでしょうと、のんびりと構えていた面もありました。」
雅子さまのような国際人を育てるための秘訣はどこにあるのか、意外にも日本で暮らしていたことが大変に重要だったとご両親は語られています。
「子どもたちを日本人として育てたいと思っていました。海外で暮らしておりました時も家庭ではできるだけ日本語で生活するようにし、日本の童話を何度も何度も呼んで聞かせました。そのせいか、読書好きで、子どもの頃は動物に関するものや伝記、医学書を熱心に読んでいました。
また、海外で暮らしているということで、一層、日本の行事や習慣を大切にしておりました。長女は小学校から9年間、日本で過ごしました。日本人としての生き方やものの考え方が自然と身に付いたような気がします。日本人の心を大切にすることが国際人として活躍する日本人に欠かせないものだと考えていました。」
また、女性の生き方について、次のように述べられています。
「働く意欲がある限り、女性も生涯続けられる仕事をもつべきだというのが夫婦の考え方でした。女性にとって結婚がすべてではないと考えておりましたし、子どもたちも自然にそんな風に考えるようになっていたのではないでしょうか。」
ご両親のお話から、たいへん読書好きのお子さまだったことがわかりますが、中でも特に雅子さまのお気に入りはマーガレット・ワイズ・ブラウンの「おやすみなさい おつきさま」(評論社)だったそうです。子ウサギが目に入るものすべてに、「おやすみ」を言うかわいいお話です。
子ウサギといえば、こんなエピソードもお聞きしたことがあります。
雅子さまは小さい頃、うさぎのぬいぐるみをたいそうかわいがられて、いつも手にもっていらっしゃったのですが、ある日、その大切なうさぎのぬいぐるみをなくされてしまいます。
とても悲しまれた雅子さまにたいして、お母さまのおっしゃられた言葉がステキです。
「うさぎの○○ちゃんは、おつきさまに帰ったのよ。」
そのお話をお聞きになられた雅子さまは、泣き止んで
「良かった。」と、おっしゃられたそうです。
子どもの悲しみを喜びに変えることができるお母さま、素晴らしいですよね。