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食育は知育・徳育・体育の土台(2ページ目)

「食」という字は「人」に「良い」と書きます。つまり「人を良くするもの」という意味です。ところが、最近は「人を悪くするもの」になっている場合もあるというのです。

上野 緑子

執筆者:上野 緑子

幼児教育ガイド

次に、こころの健康について考えてみましょう。
最近、ちょっとしたことですぐにカッとなってキレてしまう子どもが増えています。それは、糖分のとり過ぎ、カルシウム不足、亜鉛不足などが原因と言われています。

脳はブドウ糖をエネルギー源にしていますので、ゆっくり分解されるごはんや芋類からブドウ糖を取り入れるのがいいのです。しかし、すぐ吸収されるショ糖で取る習慣がついてしまうと、そのスピードにからだがついていけず、感情や行動をコントロールできなくなり、キレてしまうのです。

一方、カルシウムについては、カルシウム自体が精神安定剤なので、カルシウムが足りないとキレやすくなるとも言われていますが、そのカルシウムは、スナック菓子などにたくさん入っている添加物、「リン酸 」に弱いのです。リン酸がカルシウムの働きを阻害するため、いくらカルシウムを多く取っても、スナック菓子を多く取っていたのでは、その効果はなくなってしまいます。

そのほか、子どもたちの味覚に関しても懸念されています。

添加物いっぱいの加工品は、しっかりした味つけなので、それに慣れてしまうと、食材ごとの微妙な味わいが感じられない鈍感な舌になってしまいます。4歳から18歳くらいまでに食べたものが一生の味を支配するともいわれており、そういった意味からも、幼児期の正しい食生活は重要なのです。

そこで、自分の健康を保つための栄養バランスがとれた食事なのかを判断できる知識や、正しい味覚を育て、食材が本来もっている味をおいしいと評価できる能力を身に付けるなどの「食育」を行うことが注目されています。

従来、教育の世界では、「知育、徳育、体育」が基本と言われてきましたが、現在は、それらの基礎として、「食育」の重要性が注目されています。中でも、幼児期における「食育」の重要性は、言うまでもありません。

「食育」とは、子どもたちが自分で自分の健康をまもり、健全で豊かな食生活を送る能力を育てようとするものです。 それは、ひいては人生を豊かに力強く生き抜く能力につながっていくものです。
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