東京都心2人世帯で考える
それでは、実際の生活保護がどれぐらい受けれるのか? をみてみたいと思います。例えば東京都心の賃貸アパート(家賃5万円)に住む65歳の2人世帯で計算すると、最低生活費は生活扶助で月121,600円。これに住宅扶助(実費50000円(上限は69,600円))が加わると、この2つで月17万円程にもなります。
(※ちなみに住宅扶助を受ける場合、上限額より高い物件に住んでいる場合は、転居するよう指導されることもあるようです)
世帯収入がゼロなら、
最低生活費(17万円)-収入(0円)=17万円となり、国民年金額(夫婦2人)66,000円×2=132,000円と比べ、生活保護の方が額が多いことになります。
更に、国民年金については保険料を支払う必要がありますが、生活保護には保険料は必要ありません。「国民年金を払うのは馬鹿馬鹿しい!」という声も、一見するとうなずけるように思えます。
実際の申請には多くの厳しい要件が待ち構えている
金額だけ見ると、「生活保護の方が得!」となるのですが、そう簡単に生活保護を受けることはできません。生活保護の申請をすると、収入や扶養義務者からの援助の可否、資産の状況を調査されます。
具体的には以下のことが可能か確認されます。
■働けるかどうか?
働けるなら、まずは働いてもらう
■預貯金があるか?
預貯金があるなら、ますはそれを使ってもらう
■換金できるものはないか?
車や生命保険等は処分してもらう
■親類に生活の援助が可能か?
親類(3親等)からの資金援助が可能なら、資金援助してもらう
これらのことを全て行った上で、それでも足りない場合に、ようやく足りない分を補填されるという流れになります。
将来的に考えても、国家や地方公共団体の財政はどこも「火の車」で、生活保護を受ける要件は、今後厳しくなることはあっても、緩くなることはないと思われます。
そう考えると、「生活保護があるから年金を払わない!」という考えは捨て去る必要がありそうですね。