ゴキブリの侵入経路
いかにゴキブリといえど住まい内で"自然発生"するわけではなく、「どこかから入り込んできた」者が最初にいると考え、対策する必要があります。■新築住宅なのにゴキブリが出る場合
以前に住んでいた家から持ち込んだ「荷物の中」に紛れ込んでいた可能性があります。卵鞘状態ではなかなか気付きづらいものです。
たとえばクロゴキブリの卵鞘(らんしょう)は長さ1cm、幅5mm程度。色は黒っぽい褐色で、ウッカリすると何かの草の実やボタンに見紛うような形態をしています。これが、産卵されたと同時にメスの唾液により家具の隙間などに「貼り付けられ」てしまうため、家具の地色と相まって、おいそれと発見できないのです。
また、クロゴキブリ同様私たちの身近にいるチャバネゴキブリの卵鞘は、なんとあんこになる「アズキ」に酷似しています。
■窓、網戸、ベランダ
基本的に私たちがよく目にする類のゴキブリは、「飛んで」来ることはなく、ほぼ「歩いて」やってくると言われています。そのため、一戸建てよりもやはりマンションなどの集合住宅のほうが、外からやってくるゴキブリに侵入されるリスクが高いといえます。
家庭ゴミをベランダなど屋外に一時保管する際には、生ゴミと同じくらい「ビール缶」の扱いには注意し、しっかり封して置くようにしましょう。ゴキブリは南方由来の昆虫であるためか甘い液を好む性質があり、ビールの匂いにも強く惹かれるからです。
ゴキブリには羽がありますが、基本的に長距離を飛翔することはありません。しかしごく近所から灯りや件のビール缶などを目指してパッと飛んでくることはあります。そんなときに窓が開いているとそこから屋内に侵入してしまいます。
窓を開け放つことの多い夏場は特に、網戸をしっかり閉めて換気するようにしましょう。網戸にほころびがある場合は早めに補修キットなどで穴を塞いで置くようにします。また網戸があっても閉め方がずさんでは意味がありませんので注意しましょう。
■換気口、換気扇
キッチン換気扇掃除がずさんな家の、屋外に面した換気口は油汚れでべとべとしています。このような油脂汚れもまたゴキブリの好物なので汚れに惹かれてゴキブリがやってくる布石になってしまいます。
換気扇が直接屋外に向いているような一戸建て、長いダクトを経ているマンション、いずれも問わず、換気扇経由でゴキブリが侵入してくるケースは決して珍しくありません。
換気扇フィルタをキッチン側にすることで、ゴキブリの侵入を阻止する方法も考えられますが、ごく薄い隙間でさえも平べったいゴキブリには通過可能であることを考えると、「なるべく換気扇自体をキレイに」「排気もキレイに」「換気扇は24時間回しっ放しにする」といった方が確実です。
■下水管、排水管
配管周辺に隙間が生じている古い共同住宅では下水・排水管経由のルートで侵入するケースも少なくありませんが、排水トラップがしっかり備えられているような、各戸の気密性が高い新築の建物では特段気にしなくてもよいでしょう。
ただ、ゴキブリが既に多く生息していると思われる厨房施設が建物内にあるような共同住宅の場合には、築年数を問わず注意が必要です。ゴキブリが発生するような飲食施設では、定期的にゴキブリ駆除の薬剤散布などを行っています。このようなとき一時避難的に、それまで(居心地のいい厨房付近から離れてまで)訪れなかった住戸に来訪することがあります。
折り悪くこんな日に排水トラップ(下水からの悪臭や、ネズミ・ゴキブリなどを侵入させないための装置)を外して詰まり掃除などしていた場合はたいへんまずいということです。