手前から信州味噌(淡色味噌)、西京味噌(白味噌)、八丁味噌(赤味噌)
調味料の「さしすせそ」、最後の「そ」は味噌。
万能タイプの淡色味噌ひとつで普段の料理は事足りますが、赤味噌で牡蠣の土手鍋、白味噌で酢味噌和えといったように、料理の幅も広げてくれる調味料です。
醤油同様、和食に欠かせない味噌は日本全国で作られています。料理の用途とともに、購入の決め手は好みにつきます。というのも、味噌はどんな調味料よりも小さい頃から食べ慣れた味がその人のベースとなっているからです。今では、全国各地の味噌を量り売りしているお店もあります(専門店やデパ地下など)。まずは少量ずつ気になる地域の味噌を試してみることで、新たなお気に入りを見つけるのもいいでしょう。
それでは、原料による分類、色による分類から味噌を見てみましょう。なお、よく使われる料理など用途については、色による分類で紹介します。
原料による味噌の種類・生産地
味噌は大豆と麹の発酵より作られます。その麹の種類により、味噌の種類を分けることができます。■米味噌
大豆と米麹で作られる味噌が米味噌。全国的に生産され、生産量の約80%を占めます。代表的なものとしては、信州味噌、西京味噌、仙台味噌、津軽味噌、加賀味噌、府中味噌などがあります。
■豆味噌
大豆と豆麹で作られる味噌が豆味噌。生産量の約5%を占めます。愛知、三重、岐阜の中京地域で生産され、代表的なものは八丁味噌、三州味噌、名古屋味噌です。
■麦味噌
大豆と麦麹で作られる味噌が麦味噌。生産量の約9%を占めます。瀬戸内海をはさんだ地域、九州で生産され、代表的なものは九州麦味噌です。
■調合味噌
2種類の味噌を合わせたり、複数の麹を使って作る味噌。生産量の約6%を占めます。赤だし味噌と言われるものは豆味噌をベースに米味噌をブレンドしたもの、調合味噌に分類されます。
色による味噌の違い・特徴
一番分かりやすいのが色による分類です。普段、色で味の見当をつけて購入することも多いですよね。用途などを覚えておくと消費に困りません。■白味噌
西京味噌、府中味噌、讃岐味噌など西日本で主に生産。熟成期間が短いため、塩分濃度も6~7%と低く、色も薄い。甘さをいかした酢味噌和えや白味噌仕立ての味噌汁、田楽などに使います。おすすめはクリームシチューやグラタン、パスタなどクリーム系の料理に加えること。味がまろやかになり、手軽に旨味も加えられます。
■赤味噌
八丁味噌など中京地域で生産された豆味噌、仙台味噌や津軽味噌など東北地域で生産された米味噌が主。熟成期間が長いため、塩分濃度も高く、色が濃い。コクをいかして、赤だしの味噌汁や味噌煮込みうどん、懐石料理に使います。なお、はじめて赤味噌を使う場合はいつも使っている味噌の半分を変えてみるなどして、徐々に慣れていくのがいいでしょう。おすすめはハヤシライスや煮込みハンバーグなど、デミグラスソースや赤ワインを使った料理に加えること。赤味噌の強いコクとほのかな渋みが、味に深みを出します。
■淡色味噌
相白(あいしろ)味噌の静岡地域で生産された米味噌、信州味噌の長野地域で生産された米味噌が主。甘口から辛口まで多岐に渡り、味は白味噌と赤味噌の間です。市販の味噌の多くが淡色味噌にあたります。味噌汁から味噌煮までどんな料理にも使える万能味噌です。よって、料理レシピで味噌とあったらこれを使うのがいいでしょう。
味噌の効果・作用
大豆からできているため、良質なタンパク質が豊富で、メラニン合成を抑制するリノール酸により美肌効果も期待できます。大豆イソフラボンやサポニンも抗酸化作用をうながします。味噌の使用量・目安・レシピ活用法など
・味噌汁出汁180ml~200ml(1カップ)に対して、大さじ1が目安
・肉や魚の簡単味噌漬け
味噌とみりんを混ぜたものを肉や魚に塗り、ラップでぴっちり包み、冷蔵庫で数時間から半日寝かせます。フライパンで弱火で焼けば、お弁当やおつまみにぴったりな香ばしい味噌漬けがおうちで手軽にできます
・味噌マヨネーズ
マヨネーズを合わせて、野菜スティックなどに
・ゴマ味噌ドレッシング
練りゴマ、オイルと合わせて、サラダや冷奴にぴったりなドレッシングを手作り
・甘味噌だれ
はちみつと合わせて、甘味噌を簡単手作り。焼いた餅や田楽などに合います