「通帳の存在を知らなかった」といういいワケは
上記のケーススタディで、たとえば、盆・暮れに帰省していたときにきっかり50万円ずつ20年間連続していた贈与であれば、贈与は贈与者(財産をあげる側)と、受贈者(財産をもらう側)との双方で贈与という認識があったと考えるのが通常でしょう。
では、通帳が作成されたのが、そもそも幼少期で「通帳の存在を知らなかった」という受贈者(財産をもらう側、通常は子ども)のいい訳は通用するのでしょうか。
名義預金の認定にも要注意
これについては相続税法上、「名義預金」という考えかたがあります。
たとえば、子どもが就学中であれば、蓄財でできるほど稼ぐのは通常不可能です。つまり、蓄財でできるほど稼ぐのは通常不可能なのに、毎年毎年、通帳の残高が増えているのであれば、その資金の出所はドコなのか?という考え方です。
このような場合、税務的には「たまたま親のオカネが子ども名義になっているだけ」と考えます。このような考え方を「名義預金」というのです。
定期贈与も名義預金も回避するためには
「定期贈与」や「名義預金」という手法??を使ってでも、財産移転を行いたいという方はそれなりの資産家であることが予想されます。
このような方にオススメする贈与の方法は
「あえて110万円を超える贈与を行なう」ということです。
110万円を超える贈与を行なえば、贈与税の申告も受贈者側がしなくてはいけないですし、贈与税の納付もしなくてはいけません。
つまり、贈与は贈与者(財産をあげる側)と、受贈者(財産をもらう側)との双方で贈与という認識があったということを税務申告というかたちで証明することにもなるのです。
気になる贈与税は?
贈与税の税率は下記をご参照ください。
贈与税の税率表の抜粋です。 |
表の見方ですが110万円は控除できるので、たとえば、年間150万円の贈与であれば贈与税額は4万円、年間200万円の贈与であれば贈与税額は9万円です。
贈与税については比較的高い税率が課されているということですが、贈与とは本来、財産の無償移転であることを考えると、ある意味「安心料」ともいえるのではないでしょうか。
つまり、考え方にもよりますが、年間110万円を超える贈与を行なった年分だけ贈与税の申告を行なえば、それが返って「安心料」にもなるということです。
しかし、実際には、
「結婚のお祝い金をいただいた」
「お通夜や告別式でお香典をいただいた」
「子どもの教育費を支払った」
というような場合で、税務上とやかく言われた人はそれほどいないはずです。
このことについては、税務上、どのような説明が成り立つのでしょうか。
次回、引き続き考えます。
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