年金/国民年金の仕組み

会社員にとっても大事な国民年金の存在

現在の年金制度は2階建てになっていて、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金となっています。ちなみに会社員の方は国民年金、厚生年金に両方加入しているのをご存知ですか?

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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1階部分が建たなきゃ、2階は建たないのが年金制度
現在の年金制度では、会社員は厚生年金と国民年金の両方の制度に同時加入していることになっていて、老後には国民年金と厚生年金の両方の年金を受け取れることになっています。しかし、最近は転職や脱サラなどを経験される方が増えていて、国民年金だけに加入している時期と厚生年金に加入している時期があるなど、年金の加入履歴が複雑になっている状況があります。

国民年金と厚生年金について、それぞれ受け取る要件について見ていくと、国民年金に加入している時期の重要性が浮かび上がってきます。国民年金をしっかり納めないと国民年金だけでなく、ちゃんと納めていた厚生年金まで受け取れなくなるという思わぬ事態が起こることもあります。ということで、今回は国民年金と厚生年金を受け取る要件について見ていきたいと思います。

そもそも年金って、どうなったら支給されるのでしょうか

年金は、以下の3つのことが起こった時に支給されることになります。
  1. 年を取ったとき(原則、65歳以上)
  2. 家族の大黒柱が亡くなったとき
  3. 障害になったとき
法律用語ではこの3つのことを「保険事故」と呼んでいます。

この3点に共通することは、所得の喪失(減少)です。年を取ることにより仕事ができなくなり、それが所得の喪失や減少を招きますし、家族の大黒柱が亡くなると、その家族の収入は激減するでしょう。また障害になってしまうと仕事どころか日常生活も不便が生じます。

年金とは、このような所得の減少を招くような3つの「保険事故」が起こった時に所得保障をするために支給されるものなのです。しかし、この3つの保険事故が起こったからといって、必ず年金が支給されるわけではありません。

厚生年金を貰うのに国民年金の要件が問われる

年を取ったときに支給される年金を「老齢年金」といい、国民年金から老齢基礎年金、厚生年金から老齢厚生年金が支給されることになります。ただし、先ほども書いたように公的年金はある年齢に達すると、自動的に支払われるわけではありません。受け取るための要件を満たした人だけが請求して受け取れることになります。

それでは会社員の方が加入している厚生年金(老齢厚生年金)の受給要件を確認してみましょう。昭和61年以降の年金制度で見てみると、65歳以降に支給される老齢厚生年金の要件は、以下の3つとなっています。
  1. 65歳以上であること
  2. 1ヵ月以上の(厚生年金の)被保険者期間があること
  3. 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合計した期間が25年以上あること
ここで注目すべきは、「3. 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合計した期間が25年以上あること(生年月日等により短縮措置あり)」です。この保険料納付済期間、免除期間とは「国民年金」の保険料納付済、免除期間のことを指すのです。

何で厚生年金をもらうのに、「国民年金の保険料を納めたかどうか」という要件が問われるのか? ちょっと不思議ですね。しかし、この要件こそが、日本の年金制度の考え方を示しているとも言えるのです。

厚生年金の保険料を払うことで、国民年金も納付したことになる

それでは、国民年金から支給される老齢基礎年金の要件を見てみます。老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間の加入期間のうち、1. 保険料納付済 2. 免除期間で25年以上あること、となります。最初にも書きましたが、会社員・公務員の方は厚生年金と国民年金に同時に両方加入していることになっています。ちなみに会社員の方は、国民年金の保険料を直接払っていませんが、厚生年金の保険料を払う(天引きされる)ことで、国民年金の保険料も払ったこと(1.保険料納付済期間)になります。

要するに国民年金から支給される老齢基礎年金を受け取れる資格を持つことが、老齢厚生年金を受け取れる要件だということになります。

次のページでは、加入パターン別に検証 >>>

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