離婚時の年金分割スタートして5年目、離婚率は変化した?
離婚分割によって妻自身の年金を夫に分割することもあり得る |
この離婚時の年金分割制度がスタートしてから5年目に入り、制度として定着しつつあるわけですが、
「あれだけマスコミを騒がせたけど、実際はどんな状況なのかな?」
と、興味をもたれる方も少なくないはずです。
この制度がスタートするのを待つため、右肩上がりだった離婚件数が減ったとも言われていたわけですが、制度スタート以降の離婚率はどう変化したのでしょうか?
離婚時の年金分割スタート後も離婚率に変化なし!?
離婚時の年金分割制度のスタートが離婚率にどれだけのインパクトを与えたのか、厚生労働省が発表している資料(人口動態統計)から離婚率の推移を見てみると、平成11年 2.00%
平成12年 2.10%
平成13年 2.27%
平成14年 2.30%
と上がり基調だったのが、
平成17年 2.08%
平成18年 2.04%
と、確かに制度直前に下がっているのは事実のようです。
しかし、制度がスタートした平成19年以降を見てみると
平成19年 2.02%
平成20年 1.99%
平成21年 2.01%
平成22年 2.00%
と、制度スタート直前と比べても若干下がっている程で、この4年間の離婚率もほぼ横ばいで推移していることが分かります。
このことから、制度が離婚率に与えた影響はほとんどなかったと言えそうです。
離婚時の年金分割は、大きなインパクトはなくも着実に利用されている
最高裁判所が出した資料を見ると、平成19年4月~12月までに受理された離婚調停、離婚訴訟に年金分割が付随して申し立てられた件数は、・離婚調停 3,921件(総受理件数40,529件)
・離婚訴訟 635件(総受理件数 7,682件)
といずれも10%に満たない件数となっています。
これを見る限り、年金分割の存在が離婚に与えた影響についても、極めて限定的と考えて良さそうです。
ただ、社会保険事務所(現 年金事務所)が受けた分割請求件数をみると、平成19年4月~平成20年7月までの16カ月で14,619件となっています。離婚率を変えるほどのインパクトはなかったものの、制度として着実に利用されていることもわかりますね。
次ページでは、離婚分割の真実の姿を簡単におさらいします。