理由2 「定額部分の支給開始」
3つの原因のうち、最後の1つ「厚生年金基金」の存在が認知度が低い。基金部分については取り扱いが複雑なので注意が必要 |
60歳前半に支給される老齢厚生年金は、「報酬比例部分」と「定額部分」2階建てになっているのですが、現在この60歳前半の老齢厚生年金を受け取っている方は、「両方」受け取っている方と「片方」しか受け取っていない方がいらっしゃいます。
具体的には生年月日によって1階部分である「定額部分」、そして2階部分である「報酬比例分」の支給開始年齢が下の図のようにずれ込んでいくことになります。
例えば、つい最近60歳になられた昭和24年11月生まれの男性は、「報酬比例部分」は60歳から支給されるものの、「定額部分」の支給はありません。同じく昭和24年11月生まれの女性の場合は、「報酬比例部分」の支給は60歳からですが、「定額部分」は62歳からとなります。
この時期の年金のことを「部分年金」とも言います。本来受け取れる額の一部分しか支給されない時期があり、ここでも「思ったより少ない」と感じることがあるわけです。
これからは「定額部分」だけでなく、「報酬比例部分」も支給開始がずれ込みますので、これからも「思ったより年金額が少ない」と思われる方がなくなることはないのでしょう。
原因3 「厚生年金基金」の存在
さて、最後の原因3つめは、「厚生年金基金」の存在です。厚生年金基金とは、厚生年金の上乗せと厚生年金の一部を代行して支払う役割を持っています。図で示すと以下のとおりです。
最近は厚生年金基金を解散、脱退する企業が増えている。代行部分を返上している場合は、代行部分は国が支給することになる |
自分の勤めていた会社が厚生年金基金に加入している場合、上乗せ部分はもちろん、厚生年金の一部も基金が支払うことになります。
そうすると、必然的に国が支払う部分(厚生年金額)は少なくなるわけです。基金が支払う部分は基金に請求することになります。このことを理解していないと、国から支給される年金額だけを見て「少ない」と思うでしょう。
いずれにしても、「思ったよりも少ない」と感じたら、まず3つの原因を考えていただきたいと思います。
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