文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
★アメリカの「リタイアメントカード」★
「定年」という考え方はあるものの、アメリカでは自分で引退の時期を決める人が多いそうです。引退とは、仕事から解放され自分らしく生きる人生の充実期を迎えること。そんなハッピーリタイアメントを迎えたヒーローに、友人や家族から贈られるのがリタイアメントカードなのです。
世界中どこにでも、高齢で働けなくなる時のことを思い、何らかの自助努力する人の姿はあるはずです。収入の不足分を周到に準備する人、健康管理に気をつけて長く働ける体作りをする人、あるいは、暖かい地方に終の棲家を構える計画を何十年もかけて実行に移すこともひとつの行動だといえますよね。
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さて、私たちの場合はどうでしょうか。
日本では、公的な年金制度の仕組みが整っており、世界に誇れる充実した年金が支給されています。また、定年退職時には老後資金の原資ともいうべき退職金も受け取ることができましたから、「年金もあるし会社の退職金もあるし、定年後の生活なんて真剣に考えなくて何とかなるさ!」と、本当に何もしないまま定年を迎えた人も多かったかもしれません。こんなお国柄でしたから、「自分でハッピーリタイアメントを準備する」という行動の芽も育ちにくかったと言えるのかもしれません。
しかし、ここ10年でサラリーマンの待遇にも変化が出てきました。
「えっ、出向ですか?賃金もこれ以上昇給はないのですか?退職金はどこへ消えてしまったのですか?」
夢にも思わなかったことが、次々に現実のものとなり、当惑することも多いのです。定年が秒読みとなれば、海図を持たずに航海に出る前のような不安な気持ちで、とても今からでは新しい一歩は踏み出せないかもしれません。
でも、大丈夫。ひとつずつ、ゆっくり、じっくり自分の手でやってみましょう。