育児中の保険料免除で少子化解消に貢献できるか? |
育児期間中の保険料免除について
厚生年金については、現在子どもが3歳になるまでの育児休業等の期間中は保険料が免除されています。また、3歳未満の子どもを養育するとき、育児休業を始める前の給与で保険料を納付したものとされています。審議会ではこの制度を、第1号被保険者である自営業者等や経済的な事情で育児休業が取れない厚生年金の被保険者にも拡大する案が検討されました。見直し案として、申請による保険料免除が挙げられました。育児を行っている期間については、国民年金、厚生年金を問わず申請に基づき保険料を免除し、その期間は保険料納付済期間とするものです。
この案について審議された論点は、「保険料納付済期間に算入するための財源をどうするのか」「免除を全額とするのか一部とするのか」「子ども1人につき夫婦2人を免除対象者とするのか、1人を免除者とするのか」「子どもの数で免除に差をつけるのか」などが挙げられました。
少子高齢化は年金制度の維持にとっても大きな影響を与えます。保険料の免除以外にも、育児を積極的に評価して、年金給付の増額する意見も出されました。実際に、フランスでは子どもを3人以上育てた高齢者の年金額が一律10%加算される制度が実施されています。日本でも、保険料の免除と合わせて審議が進められるものと思われます。
今回の審議会では、上記の他に低年金者等の給付の見直しや国民年金の適用年齢の見直し、在職老齢年金についても検討が行われました。これらすべての項目についての検討が必要とされたのが、「実現に向けての費用負担をどうするのか」「税負担で対応する場合は財源をどうするのか」「保険料財源で対応する場合は新たに保険料負担を検討する必要があるのではないか」といった、財源を確保することでした。
平成19年度の国民年金の自営業者等である第1号被保険者の保険料納付率は63.9%で、目標とした80%に届きませんでした。保険料の強制徴収を強化するなど納付率アップを図る取り組みも実施されていますが、被保険者である私たち自身が自分の将来の年金のために保険料を負担することを自覚しなければならないでしょう。
よりよい年金制度の実現に向けて、今後も公的年金の議論は続き、いろいろな情報が飛び交っていくことでしょう。今後の改正動向に注目するとともに将来への過度の不安にとらわれることなく、「自分の年金は自分で守る」くらいの気持ちで上乗せ年金を準備するなど、計画性を持って自分のライフプランニングを進めていくとよいでしょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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