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年金改正、今後の行方は?(2ページ目)

平成16年年金法改正後の年金制度の課題について審議が進められています。現在の年金制度の検討課題について解説していきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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増加するパート労働者。年金はどうなる?

パート労働者に対する厚生年金適用の拡大等について

パート労働者の厚生年金加入については、以前から検討されていました。現在の制度では、正社員の労働日数および労働時間の4分の3未満で働いているパート労働者は厚生年金の適用がありません。具体的には、1週間の労働時間が概ね30時間以上であれば厚生年金に加入する目安とされています。今回の審議でも、パート労働者の厚生年金適用を拡大すべきであるという意見と適用拡大に慎重な意見の両方が出されています。

適用拡大に賛成の意見として、「パート労働者と正社員の均等処遇を図ることが重要」「労働時間の上限(正社員の4分の3)を引き下げて、原則は厚生年金加入とすべき」などの意見が出され、さらに継続審議となっている被用者年金の一元化の実現を目指すべきであるとされています。

これに対して、適用拡大に慎重な意見は、「事業主の協力や理解、納得が必要だ」「パート労働者に依存している業種があることを無視できない」「厚生年金の適用下限(現行では98,000円)をさらに引き下げると、国民年金と厚生年金の制度間の公平が維持しにくい」などが出ています。

仮に、適用下限が引き下げられ、給与が90,000円から厚生年金に加入すると仮定すると、厚生年金の保険料は13,815円(被保険者・会社負担を合算)で、国民年金の保険料(月額14,410円、平成20年度額)を下回ります。2階建ての年金を支給する厚生年金の保険料が、1階部分のみの国民年金の保険料より低い金額となる矛盾が生じてしまうことになります。

厚生労働省の調査によると、労働者のうちパート労働者の占める割合は30%を超えています(平成19年調査)。パート労働者への厚生年金適用拡大の基準として、1週間の労働時間を20時間以上とした場合、対象となる労働者は約310万人と予想されます。適用が拡大され、パート労働者が厚生年金に加入すると、労働者・事業主の両方に保険料負担が発生します。

パート労働者への厚生年金適用拡大は長年の検討案でもあり、平成19年4月に国会に提出された被用者年金一元化法案(現在継続審議中)でも適用拡大が検討されています。パート労働者だけでなく、派遣労働者など非正規雇用者が増える現状も踏まえて、この案は検討が続きます。
 

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