リスクをコントロールするには?(1)~分散投資
コントロールのポイントは? |
- 価格変動リスクに備える
株式や債券、投資信託などの金融商品は、取引相場の動きに伴う価格変動リスクがあります。株式市場や債券市場は様々な原因で取引価格が変動しますが、一般的に株式の価格変動と債券の価格変動は反対の動きを見せるといわれています。株価が上昇すると債券価格が下落し、株価が下落すると債券価格が上昇するという傾向があるといわれるので、株式と債券の両方に投資を行うと一方の値下がりをもう一方の値上がりでカバーできる可能性があります。投資信託を購入する場合も、株式に投資する商品だけでなく債券にも投資している商品を選択すると、分散投資によって価格変動リスクを軽減する効果が期待できます。
複数の金融商品に投資を行った場合、価格変動がどのような関係になるかを表す指標に「相関係数」という数値があり、?1~1の数値で示されます。例えば、2つの金融商品の相関係数が1に近いほど同じ価格変動が見られ、一方が値上がりすればもう一方も値上がりし、値下がりすれば同様に値下がりするという傾向にあります。反対に、2つの金融商品の相関係数が?1に近いほど反対の価格変動が見られ、一方が値上がりすればもう一方は値下がりし、値下がりすれば反対に値上がりするという傾向にあります。価格変動リスクを軽減するには、相関係数が?1に近い金融商品の組み合わせで分散投資を行うとより効果的でしょう。
また、株式投資で投資する銘柄を分散する場合は、同種の企業銘柄を複数購入するより異なる業種の企業銘柄に分散するほうが価格変動リスクを軽減する効果が大きくなるでしょう。
さらに、株式や債券は発行する企業や国を分散することで、発行元の破たんによる信用リスクを軽減する効果も期待できます。 - 為替リスクに備える
国内の定期預金に比べて外貨預金は高い金利で運用できる商品があります。ただし、外貨での運用は、利息収入以外に為替相場の変動の影響を考慮しなければなりません。為替相場は、経済情勢だけでなくその国の政治情勢なども影響する場合があります。外貨での運用を考える場合も、投資する通貨を分散すると為替リスク軽減の効果が期待できます。 - 信用リスクに備える
株式や債券だけでなく、定期預金など預貯金でも預入先の金融機関が破たんすると、ペイオフ制度で保護されるのは1人あたり元本と利息の合計1,000万円までです。預貯金についてもペイオフ制度を考慮して、預入先を分散するとよいでしょう。 - インフレリスクに備える
定期預金など預貯金はローリスクでペイオフ制度の範囲であれば元本が保証されていますが、現在の低金利状態では利息収入で物価上昇をカバーできないインフレリスクがあります。1~3のリスクが多少高くてもほかの金融商品も投資対象とすることで、インフレリスクに備えることはできます。
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