海外の医療事情とは?医療費はいくらかかる?
アメリカ合衆国(ニューヨーク周辺)、英国、中国(北京周辺)の医療事情を都市別にみてみましょう。※以下の情報は、外務省が平成29年11月時点で公表している情報を基にしています。アメリカ合衆国・ニューヨーク周辺の場合
ニューヨーク周辺の医療費は非常に高額です。外務省のウェブサイトによると、ニューヨーク市マンハッタン区の医療費は、同区外の2倍~3倍高額であるともいわれており、一般の初診料は150ドル~300ドル、専門医を受診すると200ドル~500ドル。入院した場合は室料だけで1日数千ドルの請求を受けることがあるそうです。例えば、急性虫垂炎で入院し手術後腹膜炎を併発したケース(8日入院)は7万ドル、上腕骨骨折で入院手術(1日入院)は1万5千ドル、貧血による入院(2日入院、保存療法施行)で2万ドル、自然気胸のドレナージ処置(6日入院、手術無し)で8万ドルの請求が実際にされています。
治療費は、診察料、施設利用料、血液検査代、画像検査代、薬品代などとそれぞれ別個に請求されるので注意する必要があります。
ニューヨーク周辺へ旅行する際は、渡航後に当地の医療保険に加入するか、渡航前に十分な補償額の海外旅行障害保険(100%カバー)に加入して備えておくべきかもしれません。
英国の場合
英国には、国が運営する「NHS(北アイルランドにおいてはHSC)」と、「プライベート医療」の2種類の医療機関があります。NHSで受診する際には、まず家庭医(GP)の診察を受ける必要があります。さらに必要があれば、家庭医からの紹介を受けて病院の専門医を受診します。日本のように、直接患者が病院の専門医を受診することはできません。
家庭医(GP)による紹介で病院治療を受ける専門医を受診する場合には、NHSに正式に加入する必要があります。日本人が加入する場合には,病院から「合法的に英国に滞在しており,英国に生活の拠点がある」との判断を受けなければならず、旅行者や短期滞在者は認められないでしょう。ただし、救急の場合は受診することができるようです。
よって、家庭医が治療できない病気やケガをしたときは、プライベート医療機関を利用することになります(はじめからプライベート医療を受診することもできます)。プライベート医療の場合、治療費は全て自己負担となります。保険の利用は可能ですので、渡航後に当地の医療保険に加入するか,渡航前に十分な補償額の海外旅行障害保険(100%カバー)に加入して備えましょう。
ちなみに、プライベート医療機関は高額ですが、スタッフや設備は充実しているとのこと。ロンドンを中心に、日本人医師のいるクリニック、日本語の通じる歯科医院などもあるようです。
中国・北京周辺の場合
北京には、外国人専用外来のある中国系総合病院や、先進国と同様の医療が受けられる外資系クリニックがあります。その医療レベルは高くなりつつありますが、それに伴い医療費も年々高騰しているようです。外資系医療機関では、日本よりはるかに高額の医療費(緊急入院1日あたり10~20万円,日本への移送数百万~一千万円)を請求されることもあるようです。
ただし、ほとんど全ての医療機関は海外旅行傷害保険が使用できますので、たとえ短期であっても保険に加入しておきましょう。
中国系病院を受診する場合、一般的には最初に窓口で掛号費と呼ばれる受付料を支払い、診察医を指名します(医師のランクにより診察料が異なります)。この時、カルテ作成料として1~5元(15~75円相当)を別途請求されることもあります。
また、入院や検査が予定されている場合は、受付時に保証金を預けなければならないことも多いようです。長期入院が必要と判断されると5万元(75万円相当)程度要求する病院もあります。ただし、これらの現金も、保険に加入していれば必要ない場合もあります。海外旅行保険加入時には、キャッシュレスサービスが付加している保険を選ぶ方がより安心と言えるでしょう。
海外旅行傷害保険に加入しておくと安心!
海外で治療を受けた場合、海外療養費制度で、健康保険から払戻しを受けることもできますが、あくまでも日本での治療費が基準です。例えば、ニューヨークで盲腸手術を受け240万円かかっても、健康保険からは日本の水準で32万円しか戻ってきません。差額の208万円はすべて自己負担となってしまいます。
また、患者が医療費を支払うことができるかどうかもチェックされます。入院する際には最初にデポジット(保証金)を払わなければならないところもあり、クレジットカードや保険の加入証などを出さないと治療を受けられないケースが実際におこっています。
万一の場合に備えて、渡航する際は、海外旅行傷害保険には加入しておくと安心です。
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