2013年度の入試動向と今後
12年度入試はまず11年3月の東日本大震災後の入試となり、志望校選びにも影響を与えました。災害時に帰宅困難になることを避け、できるだけ安全に早く帰宅できるようにと、受験生の地元志向を強めたようです。特に女子にその傾向がみられるのは当然といえるでしょう。今後も志望校選びの条件として、自宅からの距離や交通機関を重視することが考えられます。
さて12年度入試で多くの受験者を集めた学校としては、浅野(男子校・受験者数1727人)、中央大学横浜山手(共学・同1690人)、日本大(共学・同1519人)が目立ちます。共学校人気が続くなか、男子校の浅野の人気は不動のようです。浅野は落ち着いた堅実な校風を伝統として保ちつつ、中3・高1で「英数クラス」を設置するなど特色ある教育にも取り組み、毎年30名前後の東大合格者を輩出。2月3日のみの入試で1727人の受験者を集めました。アクセスがいいのも魅力。日本大学は2月2日に午後入試を導入したことで、併願者を多く取り込むことに成功しています。1日の入試受験者は551名、2日午後は547名、5日は421名。入試日程も絶妙といえるでしょう。横浜山手女子中学校は2009年より中央大学の系属法人となり、校名も中央大学横浜山手中学校に。さらに共学化に合わせ12年度入試は初の男女募集となり、受験者が殺到した状況。13年に港北ニュータウン(センター北駅)に校舎移転することもあり、人気が急上昇しています。
午後入試も広がりを見せており、はじめて午後入試を行った神奈川学園、聖園女学院では受験者増となりました。神奈川学園では2月1日に午前・午後入試を実施。同日午前入試は177名(1.7倍)だったのに対し、午後は341名(1.8倍)。聖園女学院では2月2日午前・午後入試を実施。同日午前入試は108名(2.7倍)、午後は136名(3.7倍)。午後入試は今後も増える見通しですが、募集人数を午前より抑えたりするなど、学校により戦略が異なるため注意が必要。
12年度開校の横浜市立南高校附属中学校は、男子倍率は10.1、女子は11.1。相模原中等教育学校は男子9.0、女子9.8。平塚中等教育学校は男子4.9、女子5.9。
13年度入試で気をつけておきたいのは、2月3日が日曜日に当たり、入試日を移動させるミッション系の学校があること。いわゆる「サンデーショック」と同じような現象が起きます。ちなみにサンデーショックとは、神奈川・東京の入学試験の解禁日2月1日が日曜日に当った年にキリスト教系女子校に起こる現象を指し、日曜礼拝を推奨するプロテスタント校の多くが入試日を移動させます。これに合わせて戦略的に入試日を移動する学校も出てくるわけです。
13年度は従来3日に入試を行っていたキリスト教系女子校は、入試日を変更させます。横浜共立学園B入試は2月4日に。都内では東洋英和女学院B入試も同様。これに合わせてミッション系以外でも入試日を移動させる学校が出ています。鎌倉女学院(2)は4日から3日に移動。山手学院Cは3日から4日に移動。注意して確認してください。
神奈川県における中学受験入試方法
入試は4教科入試(国語・算数・社会・理科)、4教科または2教科(国語・算数)の選択入試、2教科入試の3種類に大別できます。神奈川ではほとんどの学校が4教科入試を行っていますが、日程をずらして以上の3種類を取り混ぜて行っている学校も増えています。学校側の生徒獲得競争が活発化していることによる影響で、今後もこうした入試の多様化・弾力化が進んでいくでしょう。受験生にとっては選択の幅が広がることになりますが、気をつけておきたいのが、日程を変えて4科と2科それぞれの入試を行っている学校。神奈川大学附属では、4科で実施するA入試の募集人数は140人、同じく4科のB入試は45人で、倍率はそれぞれ2.7倍、5.5倍。それに対し、2科で実施するC入試は募集人数15名で17.2倍。横浜共立学園は4科の募集人数は150名で倍率2.0倍、2科は同30名で3.5倍。いずれも2科入試のほうが募集人数が少なく、難易度が高くなります。
慶應義塾普通部(男子校)は4教科に加え体育実技が、慶應義塾湘南藤沢(共学)は2次(1次合格者のみ)で体育実技があります(ともに面接もあり)。国立では、横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校は2教科(面接あり)、横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校は4教科。
以下に2013年に行われる私立入試の例を挙げてみましょう。
2教科または4教科選択入試のある学校
■男子校
武相、横浜
■女子校
神奈川学園、鎌倉女子大学、函嶺白百合学園(保護者同伴面接あり)、相模女子大学、聖セシリア女子、洗足学園、横浜女学院、聖ヨゼフ学園、聖和学園、聖園女学院、北鎌倉女子学院(保護者1名同伴面接あり。音楽コースは実技あり)など
■共学
橘学苑、東海大附属相模、アレセイア湘南、関東学院六浦、森村学園など
2教科入試(日程を変えて4教科入試も行っている学校)
■男子校
藤嶺学園藤沢(2月2日午後入試のみ2教科)
■女子校
横浜共立学園(B方式 入試2月4日のみ2教科。受験生のみグループ面接あり)
■共学
大西学園(2科入試のみ実施。受験生のみ面接あり)、神奈川大学附属(C日程 2月6日のみ2教科)、横浜隼人(2科入試のみ実施)
面接を実施する神奈川の中学校
面接は、男子校のほとんどが実施していませんが、女子校や共学校では未だに行われている学校があります。面接を行う学校は少なくなっており、むしろ受験しやすい入試(午後入試や4科・2科選択入試など)へと向かっていると言えるでしょう。神奈川・男子校で面接を実施しているのは慶應義塾普通部のみ(受験生・グループ)。
女子校では、保護者同伴面接を実施しているのは函嶺白百合学園、北鎌倉女子学院、湘南白百合学園、聖ヨゼフ学園、捜真女学校、横浜雙葉(事前面接)。受験生面接は日本女子大附属。グループ面接はフェリス女学院、聖園女学院、横浜英和女学院、横浜共立学園。受験生・保護者別面接は清泉女学院(事前面接)。
共学では、受験生面接は大西学園。グループ面接は相洋、東海大学附属相模。保護者同伴は慶應義塾湘南藤沢(1次合格者のみ)。
国立では、横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校がグループ面接となっています。
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