社債の基本

発売されるたびにすぐ売り切れる、SBIホールディングスの社債。2017年3月に発行されたものの金利は0.50%(税引き後は0.398%)と、そう高くはなかったものの、預金金利に比べれば高金利でした。新たに発行される社債の金利は、預金より高いのが基本です。なぜって、お得でなければ売れないからです。

さて、この記事では、社債とはどのようなもので、どんな魅力があって、どんなリスクがあるのか、どこで買えるのかなど、社債の基本をご紹介します。

社債って何?

社債とは「企業が発行する債券」のことです。企業は、事業資金を集めるために社債を発行します。企業は社債を売ってお金を集め、期日が来たら、債券を持っている人にお金を返します。期日が来るまでの間は、債券を持っている人に定期的に利息を払います。つまり、社債は「わが社はあなたから○○円借りました。○年○月○日に返します。それまでの間、○%の利息を払います」という「借用証書」なのです(詳しくはこちらもご覧ください)。

社債には基本形の「普通社債」のほか、一定の条件で株式に転換できる「転換社債型新株予約権付社債」、弁済の優先順位が低い(発行企業の経営状況が苦しい時に、利息などの約束が守られない恐れが高い)かわりに高利回りな「劣後債」などがあります。また、「どこが発行しているか」で分けると、次の表のようになります。
債券の種類

債券の種類
 

社債の魅力は?

社債の魅力は、高めの金利です。2017月6月5日現在、都市銀行の2年満期の定期預金金利は0.01%(300万円未満のスーパー定期)、ネット銀行などを含めてもっとも高い銀行で0.25%(オリックス銀行)です。一方、冒頭で紹介したSBIホールディングスの社債の金利は0.50%ですから、社債のほうがずいぶんお得ということになります。社債の金利が高めである理由は、こちらでも詳しく解説しています。

株式との違いは?

企業がお金を集める方法には「株式の発行」もありますが、株式と社債は性質が異なります。社債は、利息が約束がされていますが、株式の配当金は企業の儲かり具合次第であり、たくさんもらえる可能性も、まったくもらえない可能性もあります。

社債も株式も、値上がりした時に売却して利益を得ることができますが、社債の値動きは株式ほどには大きくありませんので、大きな利益を目指したい時には社債よりも株式が向いています。反対に値下がりした際は、社債は売らずに我慢して償還期日まで持っていれば額面金額が返ってきますが、株式の場合は売却して損失を被るか、株価の再上昇を待つしかありません。また、株主には株主総会に出席して企業経営に対して意思表示をする議決権が与えられますが、社債の保有者にはそういう権利は与えられません。

ざっくりいうと、「社債は定期預金よりは金利が高いがリスクも高く、株式よりはリスクは低めだが利益も小さめ」という傾向があります。(ただしリスクについては、個々の社債によって異なります。

いくらから、どこで購入できる?

社債は証券会社で扱っています。個人向けのものは、50万円、100万円、200万円といった単位で購入できます。最近は1万円程度から買えるものもありますが、ある程度まとまった金額が必要な場合がほとんどです。

いつどんな社債が売り出されているかは、証券会社のサイトでチェックします。すべての証券会社で同じ社債を扱っているわけではありませんので、複数の証券会社のサイトで調べることが必要です。また私は「個人向け社債ウォッチ!」というブログをよく参考にしています。こちらのブログは一般の方が書かれている ものですので、社債購入の際は取扱証券会社のサイトで商品内容を自分でしっかり再確認してください。

社債の多くは証券取引所に上場されていませんので、売買は、購入者(または売却者)と証券会社の間での「相対(あいたい)取引」で行われます。価格はその時点の世の中の金利などを勘案し、証券会社が提示します。

予算が少ないなら、投資信託を通して社債を買う手も

社債は購入単位が大きいので、個人でたくさん購入することはなかなか難しいでしょう。そういう場合は「投資信託」を利用します。さまざまな債券へ同時に投資することができます。日本の公社債に投資する投信や、外国の債券に投資する投信など、種類はいろいろとあります。新興国の債券に投資する投資信託は高金利ですが、一般的に「高金利=高リスク」ですからよく考えてから購入して下さい。

債券は、英語ではBond(ボンド)といいますので、「○○ボンド オープン」といった名前の投資信託を見たら、「主に債券に投資する投資信託」だという ことが分かります。また、「ソブリン(ボンド)」というのは、政府や政府関係機関などが発行している債券という意味です。

社債のリスクについて

最後に、社債のリスクを確認しておきましょう。おもには信用リスク、金利変動リスク(価格変動リスク)、流動性リスクが挙げられます。

■信用リスク
償還期日がきたら額面金額が返ってくる、利息がもらえるなど、いろいろな約束がなされている債券ですが、それが絶対に守られるとは限りません。企業の財政がものすごく苦しくなってしまったら利息が支払われなくなる可能性がありますし、倒産してしまったらお金が返ってこない場合があります。これを「信用リスク」といいます。しっかりした企業を選ぶ必要があるのはいうまでもありません。

金利は、発行時点での世の中の金利や償還までの期間など、さまざまな要素が関係して決まりますが、一般に「信用リスクが高い社債ほど、金利が高い」という傾向があります。同時期に発行される、期間が同じくらいの社債を比較してみてください。金利が飛びぬけて高い社債があったら、企業の資産状況や業績などを確認し、より慎重に判断することが必要です。

■金利変動リスク(価格変動リスク)
持っている社債を売るなら、できるだけ高く売りたいものです。その社債の金利よりも、世の中の金利が低くなっていれば、その社債は人気が出るので高く売れます。世の中の金利のほうが高くなっていれば、その社債は人気がないので、安くしか売れません。これを「金利変動リスク」といいます。

■流動性リスク
金利変動リスクで悲しくなるくらい安くしか売れない場合や、企業の業績悪化で信用リスクが高まって証券会社が買い取ってくれない時など、「売りたくても売れない」可能性があります。これを「流動性リスク」といいます。

為替リスク
外貨建てで購入した場合には、円に換える際に損失が発生する可能性があります。

■各商品の特性がもつリスク
個々の商品の仕組みがもつリスクもあります。たとえば「早期償還条項付」と書かれている債券は、あらかじめ決められた「対象株式」の株価が一定の価格を下回った場合、満期を待たずに早く償還されます。本来受け取れるはずだった金利が、償還以降は受け取れません。
「他社株転換条項付」と書かれた債券は、「対象株式」の株価が一定の価格を下回った場合に、償還時に金銭ではなく対象株式が交付されます。受け取れる株数があらかじめ決まっているので、「株価×受け取った株数」が、債券購入時の投資金額を下回るという「元本割れ」の恐れがあります。
このような複雑な仕組みの債券は、当初予定されている金利が高いという特徴があります。しかしその分、リスクも高いので、しっかり理解してから購入してください。


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