Yさんの本当の理由。”思いやり”
真実と向き合えないままでの離婚…。これでいいの? |
Y:「主に、子どもの物が多いです。学校で使うスキー用品とか、コートとか。あとは、食品が多いかもしれません。お米とかも…」
私:「収入に見合わない支出で、奥さんの浪費だとおっしゃいましたけど、それは浪費とは言いません。慢性的もしくは一時的な収入不足状態ではありませんか?」
Y:「何年も生活していれば、家計がピンチなときもありましたよ。私も、体の調子を崩して働けないときもありましたし、夫の給料やボーナスが激減したときもありますし…。おまけに私、節約とかヘタで貯蓄とかもできなくって」
私:「ご主人にはちゃんと話したんですか?」
Y:「いえ。主人は仕事が忙しい人なので。家の中のことは、私の仕事と言われてきました。家計をやりくり出来なかったのは私の責任なので、なんて説明していいかわからなくて。給料が足りないみたいにとられたら申し訳ないし…」
私:「じゃあご主人は誤解したままなんですね。それじゃあ、かなりお怒りだったんじゃないですか?」
Y:「はい。ものすごく。理由を言えないことにも腹を立てたみたいで。“出て行け”って言われました。子供たちが泣き出したのでその場はなんとかおさまりましたけど。離婚する気持ちは変わらないみたいです」
原因は、浪費型ではなく不況型でした。それをYさんは一人で抱え、やりくりできないのは自分のせいと思い込み、何とかしなければと借入れを繰り返し、生活を維持させてきてしまったのです。〔余談:日本の家庭の奥さんは、お金の管理ややりくりは妻の仕事(責任)で、夫は仕事だけという風潮が強く、今でも多いものです〕
本当のことを伝えるべき。そして優先すべきことは…
ご主人に本当のことを伝えるべきだと強く思いました。こんな理由で離婚だなんて。Yさんも本当にこのまま離婚でいいと思っているのか、話しを聞きました。夫婦仲の修復はもう無理、と諦めの気持ちが強かったのですが、本心は家族が大好きで、子どものことも心配でならない。今回のことをとても反省し、できればもう一度やり直しと思っていたのです。
夫婦間の誤解を解消させることが、最優先問題になりました。せっかく金銭面で変わろうとしているのに、このままでは生活がめちゃくちゃです。事情を伝えなくてはいけないと思ったのですが、ご主人には事務所まできていただけなかったため、ご主人が帰宅した頃をめがけて電話をし、自宅にお伺いすることにしました。
夫婦間の仲裁には慣れていませんでしたが、このままでは心残りが多すぎます。誤解が多いままでは、後悔の種をまいて歩くようなもの。できる限りのことは協力したいと思いました。もしかすると、きちんと向き合えばチャンスになるかもしれません。
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