結婚のお金/新婚生活に必要なお金ってなに?

浮気後に離婚した場合の気になる慰謝料の相場は?

浮気と軽く考えていても、いざ離婚となると話は変わってきます。精神的なダメージはもちろん、金銭的な負担も忘れてはいけません。では、離婚をするのにどれくらいのお金が必要になるのでしょうか?

福一 由紀

執筆者:福一 由紀

ファイナンシャルプランナー / 仕事・給与ガイド

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離婚するにもお金がかかる!

「好きになった相手が既婚だっただけ」や「不倫は文化だ」などと、浮気を容認する意見もありますが、ちょっと待ってください!

浮気をそんなに簡単に考えてはいけません。不倫が原因で離婚となると、精神的なダメージはもちろん、お金も色々と必要になってきますよ。 そこで、今回は「離婚の時に必要になるお金」をご紹介しましょう。
 
不倫がきっかけで離婚となると、お金も色々とかかってくる

不倫がきっかけで離婚となると、お金も色々とかかってくる


離婚といっても色々なケースがあるため、「慰謝料はいくら!」などとご紹介することはできません。そこで、離婚カウンセリングで活躍中の「離婚110番」主宰、澁川良幸さんに、慰謝料についてお話を伺いました。

澁川良幸さんは、離婚および家庭問題のカウンセリングやコンサルティングをしています。相談者を第一に考えるコンサルティングは好評とのこと。離婚について年間3600件ほど、累計では約3万9000件の相談を受けています。最近では企業のリスク管理部門から部署ごとのレクチャーを依頼されるケースもあるそうです。家庭問題は企業の経済活動に与える影響も大きいため、企業研修のニーズが深まっているようです。
 

慰謝料は不法行為への賠償だが、請求がなければ払う必要ナシ

ガイド:浮気をしてしまい、離婚するはめになった場合、慰謝料は必ず払わなくてはいけないのでしょうか?
「離婚110番」主宰の澁川良幸さん。離婚について年間3600件ほどの相談をこなしている。

「離婚110番」主宰の澁川良幸さん。離婚について年間3600件ほどの相談をこなしている。


澁川さん:これは意外に難しい質問ですね。離婚を考える上でとても重要な要素でもあります。

というのも、まず、慰謝料という概念を正しく理解していない人が多いのですが、慰謝料というのは、どちらかの不法行為がなければ、発生しないものです。 精神的苦痛に対する損害賠償ということですね。 そして、当たり前のようですが、請求されなければ払う必要もないのです。

つまり、どんなに浮気をしても、パートナーに請求されなければ、慰謝料を払う必要がありません。「こんな浮気男からお金なんてもらいたくない!」と請求をしないという妻もいれば、「支払い能力のない妻に請求しても仕方ない」と、最初から慰謝料をあきらめている夫もいます。
 

物的証拠がないから慰謝料を請求できない……わけでもない

また、浮気をしてしまい慰謝料を請求されても、証拠がないから払わないという人もいれば、早々と観念して支払う人もいます。 協議離婚の場合なら、証拠があろうとなかろうと、2人で払うと決めたら払うことになりますし、浮気をしているのは確かであっても、証拠が集められないからと請求をしないケースもあります。 厳密にいうと、証拠が必要なのは裁判になってからですからね。

ただ、最近は証拠採用について年々厳しくなっている状況ですので、証拠は出来るだけ具体的なものが必要になってきます。日記・録音・写真・動画などそれぞれ複数取りそろえることが大事です。たとえレシート1枚でもメモ書きでもどんなにささいなものでも集めておいた方がよいでしょう。
 

慰謝料は100万~300万円、200万円以下がほとんど

ガイド:では、浮気が原因で離婚をする場合、慰謝料はいくらくらいなのでしょうか?

澁川さん:だいたい、100万円から300万円くらいですが、相場的には年々少しずつ下がってきています。ほとんどが200万円以下ですね。 また、浮気相手への損害賠償請求も一般的になっており、そちらの相場が100万円前後です。かなり悪質で稀な例で150万円程度といったところでしょうか。

裁判所から出る判決のなかの慰謝料は、どんどん低くなっています。多くは100万円前後で、証拠が乏しいとゼロということもあります。裁判まで持ち込むと、慰謝料は低めになる傾向があります。

ガイド:「浮気相手への損害賠償請求」とはどういうことですか?

澁川さん:第三者への慰謝料請求ともいわれています。要は不倫相手に対して、その不倫が原因で婚姻関係が破綻し、精神的にも苦痛を味わったことへの損害賠償として慰謝料を請求することができるのです。 ですので、慰謝料を請求される側としては、不倫相手の配偶者からも請求される恐れがあるということですね。

また、この浮気相手への慰謝料請求をする人が増えてきました。妻が被害者であった場合、相手の女性に対して請求をかけるのは当たり前という風潮になっています。
 
先ほども説明しましたが、裁判になると慰謝料は低めになります。なので、家庭裁判所に持ち込まずに協議で交渉すると慰謝料が多くなる可能性があります。実際に協議で慰謝料を合わせて300万から500万円を支払わせたという例もあります。
 

慰謝料の決め手は婚姻期間

ガイド:慰謝料が決まる要因は何ですか?

澁川さん:一番は、「婚姻期間」と「内容」ですね。婚姻期間が長くて、かつ、悪質だと高額です。 また「収入」も影響します。例えば、支払い者の年収が1000万円と300万円だった場合を比べると、請求された慰謝料が500万円のケースでは、年収が多いと請求額も通りやすいです。年収が低いと慰謝料額も少なくなる傾向にあるようです。近年の経済格差が影響していると思われます。

例えば、婚姻期間が30年くらいで、浮気の証拠がたくさんある。なのに、あくまでシラを切りとおし、妻に苦痛を与え続けたというケース。夫の収入がそれなりにある場合だと、慰謝料額は300万~500万円くらいですね。

それに、ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)も加わっていれば、さらに70万~150万円くらい上乗せされることもあるでしょう。

ガイド:婚姻期間が短いと慰謝料も安くなるのでしょうか?

澁川さん:婚姻期間が10年くらいで、150万~200万円ほど、 婚姻期間が3年程度であれば70万~150万円くらいでしょうか。

いくら悪質でないとはいっても、やっぱり浮気は浮気ですからね。 ちなみに、慰謝料だけで1000万円を超える例は、一般人の場合はほとんどありません。 ただし、財産分与を入れて数千万円から数億円というケースはあります。
 
慰謝料と一言でいっても千差万別。裁判で争うことなく、話し合いで決めることができれば精神的に楽かも

慰謝料と一言でいっても千差万別。裁判で争うことなく、話し合いで決めることができれば精神的に楽かも

 

裁判になると証拠が重要

ガイド:慰謝料の相談で特に印象に残っている事例はありますか?

澁川さん:妻が、夫の浮気現場に乗り込んだのにも関わらず、裁判では不貞行為はなかったと言い切られたケースですね。結局、精神的慰謝料しか認められず、たしか、慰謝料は80万円くらいだったと思います。

ガイド:やはり、裁判になると証拠が大切だということですね。

澁川さん:他には、妻が夫のDVを訴えて離婚しようとしたのですが、夫側は妻の不貞を理由に離婚を拒否し、裁判では離婚が成立しなかったという事例があります。証拠は妻が男性と2人きりで車に乗っているだけの写真数点でした。

妻は、子どもの同級生の保護者である男性(つまり同級生の父親)に学校行事のあとに車で3回ほど送ってもらっただけという主張でした。このような非常に薄い証拠でも裁判官が採用することもあります。つまり、裁判においては証拠も重要ですが、裁判官の印象も重要ということです。
 

経費をかけても慰謝料は取れないケースも

ガイド:慰謝料を請求する側から見た時、何か気をつける点などはありますか?

澁川さん:よくあることですが、探偵社に200万円も300万円も払い、その分をのせて慰謝料を500万円や600万円などと請求するケースです。結局は、慰謝料が100万円前後となり、赤字になったというケースがありますね。 やみくもに経費をかけても、慰謝料は取れないんですよ。

離婚の調査費用に800万円もかけたのに、慰謝料は140万円しか認められなかったという例もあります。

協議離婚、調停離婚、裁判離婚のそれぞれでも請求額を変えたほうがよいケースもあります。協議では相手方や相手方の親の顔色を見て、調停では調停委員の顔色を見て、裁判では裁判官の顔色を見て、それぞれ請求額をよくよく検討する必要がありますね。
 

弁護士とのトラブルにも注意

また、最近では離婚弁護士とのトラブルが増えています。昔と違って今では、離婚を弁護士に依頼する割合は高くなっているのですが、それにつれて、弁護士トラブルの相談も急増しています。弁護士との問題は離婚のお金の問題に直結しています。

複雑さを増す離婚案件に対応できず、依頼人と弁護士のトラブルが頻発し、最近では弁護士を3人も4人も替えているという人も珍しくなくなっています。

弁護士に依頼しても、事案が進まない、話さえ聞いてくれないなどのトラブルが続き、次々と弁護士を替えていくわけです。そうすると、何度も着手金を払うことになりますし、時間も無駄になり、結局不利な展開になります。最初に良い弁護士を選ばないと、離婚問題が解決する前に資金がなくなってしまうことになりかねないのです。進め方がまずいと、取れるはずの慰謝料も取れませんからね。離婚トラブルと弁護士のトラブルの2重トラブルで寝込んでしまったという例もあります。

最近では男女ともにモラハラ(モラルハラスメント)事案がとても多く、それに伴い、離婚弁護士トラブルも一層増えています。モラハラ当事者が相手の場合、相手方の性格には複数のパターンがあるのですが、弁護士をあいだに入れた場合、相手方の出方は大きく2つのパターンに分かれます。一つは弁護士を入れた途端に大人しくなるパターン。

もう一つは、弁護士に思いっきり噛みついてくるパターンです。そのほかにも複数のパターンがあるのですが、特に後者の場合、依頼人を守るはずの弁護士が被害者になってしまい、相手方との交渉を途中で投げ出してしまったというトラブルが続出しています。モラハラ事案の場合、充分な成功事例を持った離婚弁護士に依頼しなければいけませんね。慰謝料を取る以前の問題になってしまいます。

ガイド:トラブルになりそうな弁護士を見分ける方法はありますか?

澁川さん:いくつかパターンがあります。代表的なものとして
・えらそうな弁護士さんを頼りがいがあると勘違いして依頼してしまう。
・たくさん弁護士さんがいると安心してしまうがメインで担当するのは一人だけなので、担当弁護士をよく観察すること。
・お父さんの会社の顧問弁護士。たいていは離婚事案をよくわかっていない。
・知人の紹介。最初から断りづらいうえに途中で解任しづらい。
・肩書がたくさんついていたりかなり年配の弁護士さん。最近の離婚事情に疎い。
といったところでしょうか。

ガイド:最後に、自分が浮気をしてしまい離婚を考えている人に一言をお願いします。

澁川さん:いろいろな経緯はあるのだと思いますが、過去を振り返るだけでは建設的な未来は築けないでしょう。「今」をありのままに受け入れ、自分と周りの関係者のことを大切に考えましょう。 決して、自暴自棄になってはいけません。必ず、道は開けます。

最近ではバツイチ、バツ2も珍しくなくなっています。前向きな再出発はけっこうなことですが、同じ過ちを何度も繰り返さないように気を付けましょう!

ガイド:不謹慎とは思いますが、自分の浮気が原因で離婚を考えている人にとって、慰謝料は少しでも少ないほうがいいと思います。慰謝料が高額にならないために気を付けることはありますか?

澁川さん:早く解決しようとするあまり、相手の言い値で慰謝料を決定してしまったり、あせって公正証書を作成したり、開示しなくてよい証拠や材料を提供して慰謝料額を高くしてしまうことがあります。あわてて余計なことを言ったり提出したりしないことですね。

責めないから何があったか全て書きなさいと言われ、書いて提出したら、それを証拠に取られて、法外な慰謝料を請求されたという事例はたくさんあります。そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、そのときになると混乱してしまって、そういうことはよくあります。

また、相手方や相手方弁護士が言うことを鵜呑みにして法外な要求に応えようと自分をボロボロにしてしまう人が多いのも最近の傾向です。相手方のみならず相手方弁護士も自分たちに有利なことしか言わないのですから、過度な要求に振り回されず、自分や自分の家族のためになる着地点を冷静に考えていただきたいですね。

ガイド:逆に、相手に浮気をされて離婚を考えている人にも一言をお願いします。

澁川さん:「浮気をされたのは自分のせい?」「自分が悪かったから?」 そんなふうに自分を責める必要はまったくありません。 いいんですよ。相手を責めて、攻めて、なじっても……。 周囲がなんと言おうとも、戦ってもよいのです。戦わなくてもよいのです。

浮気されて離婚しないなんておかしい、もっと慰謝料を取ればよいのに、などと言われたり、逆に、お金に執着し過ぎなんじゃないの?とか、相手からはお金なんて取れないよ、などと言われることもあると思います。でも、自分の人生です。あなた自身が納得できることを堂々としてもよいと思いますよ。

あなたが、自分と大切な人のために選択した道なら、どの道を選んだとしても、それは正解なのですよ。相手がどういう立場の誰であれ、自分の希望と違ったり違和感を持った場合は勇気を持って疑い、そして調べて、自分の行きたい道を選択することも大切だと思います。自分の選んだ道なら後悔も少ないでしょうし、それで上手くいくことも十分あります。

今は、泣いても怒ってもかまいません。 いつか笑える日のために、がんばりましょう!

以上、「離婚110番」 主宰の澁川良幸さんにお話を伺いました。
 

慰謝料は請求があって払うもの

慰謝料とは「精神的苦痛に対する損害賠償」とのこと。つまり、被った精神的苦痛に対する慰謝・損害の賠償という意味合いなのです。なので、慰謝料は離婚の原因をつくったほうが支払うものです。

では、どのような時に慰謝料を払う必要があるのでしょうか?
 
  • 不法行為があった
不倫、暴力などの不法行為に対しての賠償としての慰謝料です。性格の不一致や義母との折り合いがうまくいかないなどの理由では、基本的には慰謝料の請求はありません。
 
  • パートナーから請求があった
慰謝料は、請求されなければ払う必要もありません。つまり、不倫などの不法行為をした人が、パートナーから請求をされて慰謝料を払うということです。
 

財産分与や養育費が発生することも

慰謝料と同じように、離婚時に金銭のやりとりがあるのが「財産分与」。慰謝料と混同しがちですが、慰謝料と財産分与とは別のものです。損害賠償の慰謝料に対して、財産分与は夫婦共有の財産を清算するもの。ですから、財産分与は、不法行為などがなくても実施できます。

また、子どもがいる場合は「養育費」も必要になってきます。両親が離婚をし、子どもと一緒に住まなくなっても、養育の義務があるということ。子どもが高校または大学卒業まで支払うことになります。

離婚には、財産分与や養育費の支払いが必要だということです。また、離婚の原因が不倫などの不法行為であれば、慰謝料も必要になるということですね。

いかがでしたか? 離婚となるとお金の面だけでも大変ですね。もちろん、精神的なダメージは計り知ることができません。浮気なんて……と軽い気持ちで考えていてはいけませんよ!

 
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