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出産退職は2億円の損?

女性が妊娠・出産で退職をすると「機会費用」が発生します。「機会費用」とは、もし仕事を続けていれば得られたであろう収入を「費用」と見る考え方です。出産・子育てで仕事を辞めるメリットとデメリットを「機会費用」という視点から考えてみましょう。大卒女性がずっと働き続けたとすると、生涯賃金は約2億3530万円にもなります。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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大卒女性が妊娠・出産で仕事をやめてしまうと、本来稼げたはずの収入を得る機会が損なわれます。この「機会費用」は2億円超と言われます。女性のキャリアプラン・ライフプランを考える際には、そうした要素も含めて考えたいものです。
 

出産退職の「機会費用」とは?

できればやっぱりママと一緒がいいけどね…

       できればやっぱりママと一緒がいいけどね…

女性が妊娠・出産で退職をすると「機会費用」が発生します。「機会費用」とは、もし仕事を続けていれば得られたであろう収入を「費用」と見る考え方です。

出産・子育てで仕事を辞めるメリットとデメリットを「機会費用」という視点から考えてみましょう。

大卒女性がずっと働き続けたとすると、生涯賃金は約2億3530万円になります(ユースフル労働統計2015、同一企業で働き続けた場合)。

途中で会社を辞めて再就職をしても元のような収入が得られないことが多く、そうなると生涯賃金は当初よりも減り、つまりは機会費用が発生します。
 

出産退職の機会費用は2億円超?

退職後に仕事を一切せず、専業主婦になったときには、働き続けていれば得られた収入から見た機会費用は最大になります。

出産退職までの所得の累計が3500万円程度になる前に辞めてしまったと仮定すると、「機会費用は2億円超」と考えることができます。就職したばかりの時期はまだ給料も低いため、20代で退職をすれば累計で3500万円までは得られていないかもしれません。
 

再就職がパートだと機会費用は1億7600万円

再就職したときの働き方がパートやアルバイトだった場合も、機会費用は大きくなってしまいます。仮に、退職で2億円の機会費用があったとするなら、パートで月8万円で25年間働いたとしても、累計で2400万円しか得られず、機会費用は1億7600万円。辞めずに得られた生涯賃金との差は大きいままです。
 

正社員で再就職は給与水準による

再就職をした時の働き方が正社員であっても、退職してから再就職するまでの間の収入が途絶えることと、再就職後の収入が減る分の合計が機会費用となります。

そのため、
・再就職までの期間が短い
・再就職後の収入が高い

といった条件が整えば、機会費用は抑えられます。

再就職先の給与水準が大幅に高ければ、機会費用が発生しないこともありえますが、そんな職場への再就職ができる例は多くはないと言えるでしょう。
 

ママ起業で逆転ホームランも!?

退職後に主婦目線のアイデアを生かすなどして、会社を興し、成功を遂げる方もいます。それによって、生涯年収が大幅アップとなれば、大逆転もありますね。
 

辞めるか?続けるか?

最近は結婚退職をする人は減っていますが、第一子の妊娠・出産での退職は相変わらず6割前後で、過去30年間大きくは変わっていません。働きながら妊娠・出産・育児をする女性にとっては、昔より断然働きやすい環境が整っているはずなのに、です。

マタハラなどの問題もあるかもしれませんが、自ら選択している夫婦も少なくないのだと思われます。

妊娠・出産で女性が仕事をどうするかは悩むところですが、メリット・デメリットを書き出して、優先順位で考えていくことが大事でしょう。妊娠したら仕事を辞めるべき、という思い込みだけで決断をせず、いったん冷静に考えてみることをお勧めします。

実は育児休業を取ることによっても、機会費用は発生します。職場にもよりますが、額は1000万~1500万円と言われます。また、実際には保育園のコストや、ベビーシッター費をはじめ、仕事を続けるためのコストも加わります。平均月10万円かかったとしても7年間で840万円、15万円なら1260万円です。

自分の手で子育てをすることで幸せな時間が増えることにもなるでしょうし、反面、社会とのつながりが減るデメリットもあります。

また、共働きをしながらの子育ては壮絶でもあります。ゆったり育児をしたいなら、仕事を辞めて一緒にいられるのがいいでしょう。それは子どもにとってもいいはずです。

子育ての仕方や、ママのキャリアプランをどうするかは「正解」はなく、自分たちで決めることです。さまざまなメリット・デメリットをひっくるめて判断しなくてはいけません。その際に、この機会費用という視点や、長期のライフプランまで思いをはせて検討してほしいと思います。

「出産退職で2億円の機会費用が発生する」と聞いても、仕事を辞める女性もいます。それなら、と辞めない女性もいます。自己選択ができる時代。きちんと知った上で判断をし、後悔しないでほしいのです。

低成長期は共働きが前提の社会です。そして、「会社員」という身分は貴重な「資格」でもあり、容易に捨てるには惜しいもの。じっくり検討した上で自分たちの答えを出してほしいものですね。

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