住宅ローンの借り換え・返済/住宅ローンの繰り上げ返済まるわかり

多めに借りて繰上げ返済VS頭金多めで早期返済

無理のない住宅ローン返済の鉄則は、借入額はなるべく少なく、そして返済期間は短い方が総返済額は少なくなります。一方で、当初は多めに借入れをしておいて繰上げ返済するという手もあります。この二つの方法、どのくらいの違いがあるのでしょうか?

高田 晶子

執筆者:高田 晶子

住宅ローンガイド

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効率的な住宅ローンの返済は、借入額は少なく返済期間は短いこと。住宅ローンだけを見れば確かにこれは正しいのですが、家計は住宅ローン以外にも考慮しなくてはならないことがたくさんあります。今後のライフイベントとのバランスも重要になってきます。その上で、どのような借入、返済の選択肢があるのか考えてみましょう。

「頭金は多め」のメリットとデメリット

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手元にお金を残すか、なるべく頭金を多くして借入れを減らすか、それぞれにメリット・デメリットがあります

住宅購入において、頭金をいくら入れることができるかは、借入額に影響してくることもあり、大きな要因です。もちろん、頭金が多い方が借入額が少なくなり、総額も少なくすることができます。これが「頭金は多め」のメリットです。

<例>35年返済 金利3%の場合
●頭金 500万円  借入額3,000万円
⇒総額 約5,349万円(内住宅ローン返済総額 約4,849万円)
●頭金 100万円 借入額3,400万円
⇒総額 約5,596万円(内住宅ローン返済総額 約5,496万円)

同じ価額の物件を購入したとしても、上記例では、総額で約250万円もの差がついてしまいます。住宅購入時に、手元に資金が600万円あったとしたら、あなたは500万円を頭金に使いますか?それとも100万円にしておきますか?

数字の損得で見れば、500万円を頭金に使った方がお得そうです。しかし、住宅購入後に手元に残る金額は100万円のみ。生活費が25万円/月かかっているとすると、4か月分のたくわえがあると考えられます。万一、何かがあった場合に4か月で生活を建て直すことができるかどうかがポイントです。

一方、頭金に100万円を入れた場合には手元に残るのは500万円。1年8か月分の生活費のたくわえがあることになります。万一収入が途絶えてしまったり、収入が減ってしまった場合でも生活費の1年以上のたくわえがあると安心感は高まりますね。手元にお金を多めに残して置くメリットがこの安心感です。

「当初から短期返済」と「長く借りて繰上げ返済」の比較

もう一つ、比較をしてみましょう。当初から借入期間を短くしておくのと、長めに借り入れして繰上げ返済するのとでは、どのくらいの差があるでしょうか?

<例>3,000万円の借入、金利3%
●25年返済の場合
毎月返済額 142,263円 総返済額 約4,268万円
●35年返済の場合
毎月返済額 115,455円 総返済額 約4,849万円

5年ごとに160万円を繰上げ返済(25年返済との差額分)
25年8か月で完済 総返済額 約 4,356万円

当然ながら25年返済と35年返済では総返済額に大きな差があります(約580万円)。ただし、毎月返済額も35年返済の方が約2.7万円少ないので、この差額分を貯めておき、5年に一度繰上げ返済すると、その差は約88万円まで縮まります。

総額で約88万円の差は小さくはありません。しかし、返済期間中、常に余裕がある、手元に預貯金がある状態が続いていることになります。予備費が多めにあるというのも、大きな安心感ですね。

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