税金/税金関連情報

住宅ローン控除と確定申告その1

住宅ローン控除には、きちんと届け出をしたり、確定申告をしたりすることで受けられる恩恵がいくつかあります。3回の集中連載の1回目。転勤して戻ってきたとき、残りの期間があれば控除は再適用されます。

執筆者:菱田 雅生

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転勤から戻れば住宅ローン控除が受けられる

単身赴任なら住宅ローン控除はフルに受けられるが…
住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除)の制度は、平成15年4月以降、転勤などで自宅を一度離れても、再び戻ってきたときに住宅ローン控除の適用期間が残っているなら、残りの期間の控除は再び受けられるようになっています。

手続きとして、まず転居前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出する必要があります。そして、再び戻ってきて再適用を受ける最初の年には確定申告が必要になります(一定の給与所得者は、その翌年以降は年末調整で済みます)。転勤が決まった方、それから戻ってきた方、手続きを忘れないようにしましょう。

以前は単身赴任を強要する制度だった?

平成15年3月以前は、転居してしまうと住宅ローン控除の適用はそこで終了し、その後再び戻ってきても適用は受けられませんでした。転勤などで自宅を離れたときに住宅ローン控除の適用を受けるためには、家族を自宅に残し単身赴任をする必要があったのです。

単身赴任であれば、自宅に住んでいるのが家族だけであっても、住宅ローン控除が受けられます。つまり、短期間で戻ってくる可能性があっても、住宅ローン控除をフルに受けたいなら、転勤のときには単身赴任をしなさいというのがそれまでの制度だったわけです。

まるで税制が家族を引き離し、挙句の果てには離婚問題にまで発展させるかのような状態だったのです(離婚問題というのは言い過ぎかもしれませんが…)。

転居前に1度でも控除を受けていないとダメ

住宅ローン控除の再適用を受けるためには、まず、転居する前年分以前に住宅ローン控除の適用を受けていることが必要です。したがって、住宅取得をして入居したものの、その年の12月31日を待たずに転居してしまった場合は、住宅ローン控除を一度も受けていないことになるので、再適用は受けられません。このような場合は、年明けまでは家族を自宅に残して一時的に単身赴任したほうがいいでしょう。

また、転居する前年の所得が3000万円を超えていて住宅ローン控除が受けられなかった場合は、前々年まで住宅ローン控除を受けていたのであれば大丈夫。しかし、当初から一度も住宅ローン控除を受けていない場合は要件を満たせないため、再適用は受けられません。


≪重要なのは転居の理由。次ページで解説します≫
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