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関空が今、スゴイ!外国人観光客で盛上がる5つの理由(2ページ目)

2014年度上期に関西国際空港(関空)の国際線を利用した外国人旅客数が日本人旅客数を超えた。その数、前年同期比31%増の約321万人と過去最高。一方の日本人旅客数は317万人となっている。一時は存在意義さえ問われていた関空だが、ここに来て汚名返上。好調の背景にあるものとは何か、5つの理由をもとに解き明かします。

新井 庸志

執筆者:新井 庸志

マーケティングガイド

関空がますます発展する5つの理由

今後、関空はますます発展するだろう。その5つの理由について説明したい。

理由1:免税範囲の拡大
2014年10月より、これまで家電製品衣料品、装飾品などに限られていた消費税免除の対象が、食品類、飲料類といった消耗品にまで拡大された。さっそく免税範囲拡大を受けて、都心部のドラッグストア、デパートの食品売場には、それまで少なかった外国人の姿が多く見られるようになった。また売場などでの外国人サポート体制も、以前より準備が早くなった。免税範囲拡大から約1ヶ月程度でも明らかに効果が出ている。このメリットは外国人観光客数の数を確実に押し上げるはずだ。

理由2:ビザの更なる要件緩和
すでに2014年9月30日にインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国についてビザの発給要件を緩和した。また、数次ビザの有効期間も3年間から5年間に延長した。さらに11月には、パッケージツアー向けに、1回限りで使用可能な「一時観光ビザ」の発行を簡素化する。さらに12月からは、ICチップ付パスポートを持つインドネシア国民のビザが免除となる。2020年の訪日外国人観光客数2000万人突破に向けて、東南アジア向けのビザ発給要件緩和はさらに進んでいくことは確実だ。

理由3:東南アジアの成長
東南アジア5ヶ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)における中間層・富裕層(年間所得5000ドル以上)は約4億人になることが予測されている。現在の約2倍の計算となる。この中間層・富裕層のどれだけが日本へ旅行することになるかはわからない。ただ単純に計算すれば現在の2倍の客数になるはずだ。いくつかの業種の販売店、飲食店、街角での定点観測を続けているが、定点観測場所の一つである表参道や原宿の様子も変わった。昨年まで中国系、欧米系の旅行者が多く見られたが、今もっとも多いのはタイ系の旅行者だ。東南アジアの成長によって、今後ますます東南アジアからの観光客数は増加していくことは確実だ。

理由4:政府による観光立国化推進サポート
政府は2020年までに年間訪日外国人観光客数2000万人を目指している。外国人観光客の中には2度、3度と訪日する人も増えてくるだろう。東京、京都、富士山といった現在の人気スポットだけでなく、まだ行ったことのない場所に訪れる観光客も増加していくのは確実だ。第二次安倍内閣発足時、安倍総理は“地方創世”を方針の一つに掲げた。「観光立国化+地方創世」という政府のサポートは、今までそれほど注目されることのなかった都市にはプラスだろう。外国人観光客がの関西、中国、四国地方旅行へのターミナルとして関空がますます人気になっていく可能性は高い。

理由5:USJ人気
2014年7月15日にオープンした新アトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」のオープン以来、日本国内だけでなく海外からの観光客も激増しているユニバーサル・スタジオ・ジャパン。USJの魅力度がアップしたことは大きい。今まで、東京を訪れる外国人観光客の中には東京ディズニーリゾートに行く人は多かった。しかし、関西観光をする外国人観光客の中でUSJに行く人は少なかった。新アトラクションの人気ぶりを見ると、関空を使って「関西・四国・中国地方観光+USJ」という旅程も増えていくことだろう。

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