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根菜類は体を温めるってウソ!?(2ページ目)

大根やゴボウなど、地中でできる野菜は“カラダを温める”という説があるようですが、実は薬膳ではそうとも限りません。薬膳で考える根菜類の効能など、詳しく紹介しましょう!

杏仁 美友

執筆者:杏仁 美友

国際中医師 / 漢方・薬膳料理ガイド


カラダを温める根菜類の代表「生姜」「かぶ」

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ユリ科はカラダを温めるものが多く、ウリ科はカラダを冷やすものが多い

そのほかカラダを温める根菜類には、ユリ科のにんにく、らっきょう、玉ねぎなどがあります。

■「生姜」は寒気を散らし、嘔吐をとめる
現存する最古の薬学書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』を整理した『本草経集注』には、「辛味」「温性」で、寒気のする体表の邪気を取りのぞき、消化機能を高め、嘔吐を止めたり、解毒作用があると記されています。

生姜のカラダボカポカ作用は、薬膳だけでなく栄養学的にも証明されているので、ここで改めて明記はしませんが、そういえば生姜も根菜類だった!と思い出したのはガイドだけでないはずです。見たからにどんなものより「根っこ」なんですけれどね。

■「かぶ」は消化を助け、カラダを温める
『神農本草経』の前後で書かれた『名医別録(めいいべつろく)』では、「温性」で消化促進によく、元気をつける食材とされます。

ここで注目したいのが、大根との違いです。どちらも消化を促進する働きがあるのですが、大根は「涼性」で、かぶは「温性」。なので、薬膳的には冷え性にはかぶ、そうでなければ大根をピックアップするとよりベターです。

身近な食材の寒熱性

文献によって多少の誤差がありますが、一般的に薬膳でいわれている食材の寒熱性をあげてみます。もちろん、食材にはカラダを冷ます・温めるなどの寒熱性だけではなく、水分代謝を高める、便通をよくする、血液を補うなど、寒熱以外の働きを総合的にみることが大切です。

■温熱性の身近な食材
生姜、ねぎ、しそ、香菜、かぶ、かぼちゃ、玉ねぎ、ニラ、菜の花、にんにく、ラッキョウ、もち米、羊肉、鶏肉、イワシ、サンマ、マグロ、海老、ライチ、サクランボ、桃、栗、クルミ、黒砂糖など

■寒涼性の身近な食材
キュウリ、トマト、レタス、ゴボウ、大根、冬瓜、苦瓜、ナス、春菊、セロリ、たけのこ、ホウレンソウ、緑豆もやし、鴨肉、アサリ、シジミ、カニ、昆布、海苔、柿、梨、スイカ、バナナ、茶葉、塩など

■平性の身近な食材
しいたけ、長いも、さつまいも、じゃがいも、にんじん、ピーマン、とうもろこし、キャベツ、オクラ、うるち米、大豆、黒豆、豚肉、牛肉、スズキ、イカ、タコ、梅、ブドウ、ゴマ、ハチミツなど
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