不眠・睡眠障害/不眠・睡眠不足の影響

お酒よりも怖い!? 睡眠不足と交通事故の関係

自動車の運転中、つい居眠りしそうになってヒヤッとした経験がある人は少なくないかもしれません。睡眠不足は居眠り運転の危険性を増やすだけでなく、目覚めているつもりでも運転能力を低くします。ここでは交通安全週間にちなんで、睡眠と交通事故の関係についてご紹介します。

この記事の担当ガイド

日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医

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交通事故の原因の半分にからむ睡眠不足

居眠り運転

交通事故の半分は、睡眠不足や疲労が関係しています

交通事故による死者は、昭和45年に16,765人もいましたが、2011年にはその3割以下の4,863人にまで減少しました。

これは、シートベルトの装着率の向上や安全装置の進歩によるものと思われます。しかし、今でも年間72万6千件の交通事故が起こり、89万人以上がケガをしています。

明らかに居眠り運転が原因だと特定された事故は、日本の交通事故全体の3%ほどしかありません。しかし、眠気による運転操作のエラーや判断ミスなどを含めると、さらに増えると考えられています。アメリカでは不眠や疲労が関係した事故が、交通事故全体の約半分を占めるという報告もあります。

睡眠に問題がない人に比べて不眠症の方は、交通事故に注意をしなければなりません。アメリカで起こった5千件以上の交通事故を分析すると、不眠症患者さんは健常者に比べて交通事故を起こす確率が、3.5~4.5倍も高くなることも分かっているからです。

一晩の徹夜より危険な睡眠不足の蓄積

交通事故

睡眠不足が続くと、交通事故の危険性が高まります

居眠り運転では、事故の大きさも増します。居眠りをしていると事故のときに、ブレーキやハンドル操作による危険回避行動がとられず、高速のまま人や車などに突っ込むからです。

死亡事故は人身事故全体からみると1.2%ですが、居眠り事故に占める死亡事故の割合は5.9%と5倍にもなります。また、アメリカでは、不眠や疲労が関係した死亡事故が全体の57%に達する、とも言われてます。

睡眠時間を削ると、目覚めているつもりでも運転が下手になります。運転シュミレーターを用いて行われたある実験では、徹夜明けに車を運転すると、一定の速度で運転しているつもりでも、スピードにばらつきが大きいことが分かりました。これは、車間距離を一定に保つことが難しいことを示し、追突事故の増加につながる危険な兆候です。

徹夜までしなくても、睡眠不足が続くと事故を起こしやすい状態になります。一晩の睡眠時間を5時間に制限したところ、眠気が強くなり車線を外れやすくなることが明らかになりました。これは、走行車線をはみ出して対向車との正面衝突する危険が高まることを示しています。

一晩でも徹夜すると、本人が居眠り運転を起こす危険性を十分に理解しているので運転が慎重になります。しかし、毎日少しずつ睡眠不足が蓄積していくと、本人が睡眠不足であることすら自覚できずに、交通事故を起こしてしまう危険が高まります。

睡眠不足は飲酒運転と同じくらい危険

お酒

睡眠不足だと、お酒を飲んだときと同じくらい運転能力が落ちます

飲酒運転の危険性が広く知られてから、車を運転する前にお酒を飲む人はまずいないと思います。しかし、眠気と闘いながら運転している人は、今現在も多いことでしょう。

睡眠不足での運転と飲酒運転は、どちらが危険なのでしょうか? 法律で厳しく規制されている飲酒運転のほうが断然危険と思うかもしれませんが、実はそうではありません。

睡眠を制限したグループとアルコールを飲んだグループで、居眠り運転の危険性を比べた実験があります。それによると、通常8時間睡っている人が睡眠を2時間削るだけで、体重1キログラムあたり0.54グラムのアルコールを飲んだのと同じ眠気が起きることがわかりました。

このアルコール量は「ほろ酔い状態」にあたり、日本の道路交通法では「酒気帯び運転」で25点、「酒酔い運転」と認められれば35点の違反点数を科せられます。

飲酒運転は厳しく取り締まる必要がありますが、睡眠不足の常態での運転も飲酒運転と同じくらい危険だということを、もっと多くの人に知っていただきたいと思います。車の運転中に眠気を感じたら、どうぞ早めに仮眠をとって安全運転を心がけてください。

更新日:2011年04月11日

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