文章:山口 由紀(All About「二世帯住宅で暮らす 」旧ガイド)
二世帯同居中の奥様に集まっていただき、経験談やアドバイスをお聞きした座談会でしたが、皆さんの言葉の端々に「同居の良さ」を感じさせる発言が、とてもたくさんあったのが印象的でした。今回は、そんなエピソードをまとめてお届けしたいと思います。
祖父母の存在は子どもの教育上、良い!
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祖父母と一緒に過ごすことで、おもいやりが自然と育ちます。祖父母の存在は子どもの教育上にはとても良いことです。
まず全ての奥様が口にしていたこと、それが「二世帯同居は、子どもの教育上良い」でした。親世帯・子世帯ともに、親子だけの核家族より祖父母が近くに居る二世帯同居は、子どもが成長していく過程で良い影響があるとおっしゃっていました。
一番にあがっていたのが「弱者をいたわる心・思いやりが自然に育つ」という点。祖父母が居ることで、高齢になれば重いものを持つのが大変だということや、体力的には無理がきかないことなどを感じとり、自然と理解していきます。その結果、自分の祖父母だけでなく、周りの高齢者に手を貸したり、弱者は守るという意識が自然と身についていくそうです。
また「中学生の息子が自分には反抗するけれど、祖母には素直に接することができるのか、いろいろと相談している様子。難しい年頃なので助かっています。」という話のように、子どもにとっても、両親とだけの関係になるより、祖父母という別の大人が存在することで、いろいろな意見が聞けて素直になれることもあるようです。このようなことからも、祖父母の存在は「子どもの教育上、良い!」と言うのが皆さんの結論でした。
しかし一方で、これはちょっと困るという声も。それは...、おもちゃ・お菓子・お小遣いなどなど、祖父母が孫に物を与えすぎること。「飴もチョコも炭酸飲料も、子どもが初めて口にしたのは、み~んな祖父母からでした!」という子世帯・奥様の話に、思わず「ウチも一緒~」と笑い声がでたものです。祖父母がどうしても孫に甘いのは、どこのご家族も一緒ということですね。
いつもにぎやかで楽しい生活が、良い!
次に多くでたのが「楽しい」という言葉。やはり単世帯よりも両世帯でにぎやかにできるイベントは楽しいとのこと。お正月など季節の行事はもちろん、子どもの運動会に両世帯総出で応援に行ったり、誕生日をみんなでお祝いしたりと、家族のイベントはにぎやかに楽しんでいるとのことでした。
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両世帯でにぎやかにできるイベントは楽しいもの
また、イベントをする時だけでなく、朝学校へ行く子どもを皆で見送ったり、「今日は鍋にしようか」と言えば「おじいちゃん、おばあちゃんも呼んでくるね」と子ども達が言い一緒に食べたりするという話もでて、日常的にも楽しくにぎやかな生活を送っている様子が目に浮かぶようでした。子世帯奥様からみると、親世帯は「ご近所の老夫婦だけの世帯に比べると、子どもや孫が出入りする二世帯同居は楽しい」と口に出して言うことが多いとのこと。若い世代が居ることは、生活の活気につながるようですね。
さらに、このように頻繁に会うことは、別居していた時より訪問の義務感が薄れるという話もでていました。別居であれば「たまには顔をださなくては」という義務感があり、少々無理をしたりするものです。しかし、二世帯同居はいつでも会える距離に居るので「今日、顔をださなくては」という縛りが薄れるというのです。二世帯同居は親世帯との付き合いが、かえって気楽なのかもしれませんね。これも少し意外な良さではないでしょうか。
次ページでは、二世帯同居の安心感について触れていきます。