捨てる決断には「情報」がカギとなる
上司に協力してもらいながら、顧客選別を行おう
それは「持っている情報量の差」だと私は思っています。
捨てられない営業マンは、お客さんや商談の状況についての情報が圧倒的に不足しています。上司から営業活動の進捗状況を聞かれたときも、曖昧な返事しかできません。
上司:「この案件、クロージングにまで持って行けそうだと思う?」
部下:「たぶん大丈夫だと思います」
上司:「何でそう思うの?」
部下:「前回の商談のときに担当者の方が『上司を説得して何とか今月中に決めますよ』と力強く言ってくれたからです。かなり本気の言い方だったので、たぶん大丈夫だと思います」
上司:「その上司の方というのは、この案件についてはどんな感想や意見を持っているの かな?」
部下:「いや、それはちょっと……。上司の方にはお会いできていないので……」
上司:「そもそもうちの商品を購入いただける予算は、先方にあるのかな」
部下:「それもちょっと聞いていないです」
上司:「うちの競合は?」
部下:「たぶんいないんじゃないかと思うのですが……。わかりません」
というように。
情報が不足しているから、「このお客さんは見込みがあるか、見込みが薄いか」の判断もできません。だから見切る決断もできないわけです。
一方優秀な営業マンは、しっかりと状況を把握しています。上司から進捗状況を聞かれたときも、明確な言葉で答えられます。
上司:「この案件、クロージングにまで持って行けそうだと思う?」
部下:「90%の確率でほぼ大丈夫だと思います」
上司:「何でそう思うの?」
部下:「前回の商談のときに、総務部長がはじめて同席されたのですが、この方が私の提案を身を乗り出すように聞いていたからです。大きな手応えを得ました」
上司:「A社の場合、総務部長がキーパーソンなの?」
部下:「ええ、先方の担当者の方からはそのように聞いています。私も先日部長と話していて、社内で強い発言権を持っていると感じました。とはいえ最終決定は来週の役員会を通さなくてはいけないとのことなので、今それに向けて資料を作成しているところです」
上司:「競合の状況は?」
部下:「担当者の方の口ぶりからして、ほかに1社いたのですが、価格面で折り合いがつ かず断念したようです」
上司:「そうか。じゃ期待できるな。がんばれよ」
部下:「はい。がんばります!」
というように。
優秀な営業マンは情報をしっかり収集しているから、自信を持って「このまま商談を進めるか」「それとも見切るか」の判断ができるのです。