可愛がられるとは? |
あなたを可愛がってくれるお客様は何人いらっしゃいますか? 「たくさんいらっしゃます!」と答えたあなたは きっと、コミュニケーション上手。成績もなかなか、なのだと思います。
ただし! 「お客さんに可愛がられる」という状況というのは、営業スタイルの踊り場であっても、ゴールでは決してありません。今回は、目指すべき営業スタイルについてお話ししていきましょう。
私を一大転換させたひと言
以前勤めていた会社で、私にもそんな時期がありました。つまり新米営業マンが通る、顧客恐怖症や営業不振から開放され、お客様との付き合い方もわかってきた。そして多少なりとも成績をあげていたのです。もちろん営業が楽しいと思えていました。
そんなとき、同行していた社内の人間から帰りがけにポツリと言われたのです。
「西野さんって、お客さんに可愛がられるよね」
はじめは、褒め言葉だと思いました。でもどうやら、そうではない。遠まわしの嫌味とも思える言い回しでした。よくよく考えてみると、そのお客様は、随分前から安定したリピート客で、関係は良好(と自分では認識していました)。
失礼はなかったにしろ、自分にとってはルーティンワークに近い状態になってしまっていたのです。愛想よく相手の言うとおりにしていれば、労せず受注が続いていくのですから。
つまり、 自分で新しく開拓したお客様のように、「何か価値のある提案をして、お客様を魅了してやろう」「お客様に貢献してみせよう」とは思えていなかったのです。
「可愛がる」はフェア、対等な立場関係ではない
そもそも「可愛がる」とは、どういう関係でしょうか。子供を可愛がる、部下を可愛がる、ペットを可愛がる。なんて表現しますよね。
では、こんな使い方はするでしょうか。社長を可愛がる、先輩を可愛がる、師匠を可愛がる……、とは言いませんよね。つまり「可愛がる」には上下関係が存在しているんですよね。
自分を可愛がってくれる、そんなお客様とは「良好な関係」を築けているようでいて、実際はただあやされていた(と言うと言いすぎですが)、強い尊敬を得るには至っていなかった。そして何より、そんな状態に私は「満足していた」のです。
自分自身のゆるさ、そしてそれを見抜かれたことに気づいたその夜は、悔しい気持ちでいっぱいになりました。私は、その日を境にお客様との目指すべき関係について、営業マンがもつべき気概について、探求するようになったのです。
目指すべき営業スタイルとは