行き当たりばったりで営業活動をしていても……

営業マンであれば、誰もが会社から営業ノルマを与えられています。ノルマは行き当たりばったりで営業活動をしているだけでは、けっして達成できるものではありません。適切な目標を設定し、目標管理を行いながら活動することが不可欠となります。ここでは適切な目標設定と目標管理の方法について説明しましょう。

目標はできる限り細分化する

多くの場合、営業マンは会社から、1年ないしは半期単位の営業ノルマを課せられていると思います。こうした「年間の営業ノルマ」「半期の営業ノルマ」といった大目標を達成するためには、毎月の目標や毎週の目標、毎日の目標といった小目標を適切に設定することがカギとなります。その際のキーワードが「ブレイクダウン」です。イメージが湧きやすいように、最初にちょっとしたシミュレーションゲームをしてみましょう。

みなさんは株式会社A商事の社員です。今年会社から与えられたノルマは、新規のお客さんだけで年間売上1億2000万円を達成することです。

さて問題です。年間売上1億2000万円を達成するために、あなたは毎日テレアポの電話を何件かけなくてはいけないでしょうか。

答えを導き出すための計算の方法は、すごく簡単。ブレイクダウンしていけばいいだけの話です。実際にやってみましょう。

  1. 年間の売上目標が1億2000万円ということは、月間の売上目標は1000万円
  2. あなたの1件あたりの平均受注金額は500万円。月間売上目標1000万円を達成するためには、月2件契約を成立させることが必要
  3. あなたの契約成約率は、提案5件に対しておよそ1件の割合。月2件の契約を達成するためには、月10件の提案をすることが必要
  4. あなたが訪問から相手先担当者への提案にまで持っていける確率は5件におよそ1件の割合。月10件の提案をするためには、月50件の訪問をすることが必要
  5. あなたが、テレアポから相手先への訪問にまで持っていける確率は、およそ10件に1件の割合。月50件の訪問をするためには、月500件のテレアポをかけることが必要
  6. あなたは1ヶ月に約20日間働いている。月500件のテレアポをかけるためには、毎日25件のテレアポをかけることが必要。

答えが出ました。「年間1億2000万円を達成するためには、毎日25件のテレアポの電話をしなくてはいけない」わけです。

このように目標は、
  1. 大目標から小目標へとできる限りブレイクダウンしていくこと
  2. 具体的な数字に落とし込むこと
が大切です。

年間売上目標1億2000万円というと、途方もなく大きな数字のため、いったい毎日どれぐらいがんばればいいのか見当がつきません。そこで具体的な数字にブレイクダウンすることで、「1日にどれだけの仕事に取り組めばいいのか」の目安が見えてくるようになります。「1日の目安」に沿って毎日仕事を継続していくことによって、ノルマ達成に近づいていくというわけです。

さらに具体的な行動計画に落とし込む

「ノルマ達成のためには、1日25件テレアポをかけなくてはいけない」ことがわかったら、次に考えなくてはいけないのは、どんなお客さんにテレアポをするかということです。

電話帳を見て、片っ端からテレアポをかけていく方法もありますが、他にも方法があるはず。そこでどんな方法があるかを考えてみるのです。

図表1は、テレアポをかけるときの方法をマトリックスにして整理したものです。


  1. ゼロからテレアポ……電話帳、『会社四季報』、帝国データバンクや東京商工リサーチなどが公開している情報をもとにテレアポをする
  2. 人脈作りの場で知り合った人にテレアポ……異業種交流会や業界勉強会などを通じて知り合った人にテレアポをする
  3. セミナー参加者にテレアポ……セミナーやイベント、展示会の参加者にテレアポをする
  4. 紹介してもらってテレアポ……お客さんに知り合いを紹介していただき、その方にテレアポをする

「ゼロからのテレアポ」の場合、量はこなせますが文字通り飛び込みのテレアポになるため、成功率は高くありません。逆に「人脈作りの場で知り合った方にテレアポ」の場合は、勉強会や交流会を通してすでに相手と面識はあるので、アポイントがとれる確率は高くなります。しかし、1回の勉強会や交流会でそんなに多くの人と知り合うことはできないため、量はこなせません。

このように各々のテレアポの方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。そこで色々な方法を取り混ぜることで、それぞれのデメリットを補い、バランスの良いテレアポの取り方ができるように工夫するわけです。

こうした「バランスを意識する」という発想は、テレアポのときだけではなく、どんな行動計画を立てるときでも大切になります。

案件の進捗状況に合わせて目標管理を行う

テレアポがとれたら、いよいよ相手先を訪問。商談がスタートします。

営業マンは、1人で何件もの案件を抱えることになります。当然案件によって進捗状況は異なります。高い確率で受注できそうな案件もあれば、難航が予想される案件もあります。また短期間で受注が取れそうな案件もあれば、時間がかかりそうな案件もあります。そこで営業ノルマを達成していくうえで、次に重要になってくるのが、案件の進捗状況に合わせて目標管理をしっかりと行っていくことです。

典型的な目標管理の方法を1つ紹介しましょう。図表2を見てください。

これは営業マンが、自分が担当している各案件の受注見込みを表にした「受注見込みリスト」の例です。「Aランク 90%」というのは、「90%の確率で今期中に受注できると見込んでいる案件」という意味です。

表を見ると、A、Bランクの案件が結構多いことがわかります。どうやら今期のノルマをクリアすることはそれほど難しくないようです。まずは安心です。

しかし気になるのは、C、Dランクの案件が少ないこと。C、Dランクは、これからお客さんと商談を重ねることでA、Bランクに引き上げ、来期に受注に結びつけたい案件です。そのC、Dランクの案件が少ないということは、来期のノルマ達成は、いまのままでは相当厳しくなるということです。この表を見れば、当然営業マンとしては「来期を見据えて、もっと新規開拓に力を注がなくてはいけないな」という判断が働きます。

見込み客を正確にランク付けする方法

目標が正しく管理できればやるべきこともはっきり見えてくる
このように目標管理は、しっかりと表にするなどして、自分の状況を常に客観的に把握しておくことが重要になります。ただし、自分の状況を客観的に把握するためには、A~Dのランク付けを正確にできることが条件となります。

ランク付けをする際には、「担当者の反応」「キーマンとのコンタクトの状況」「競合他社の数や脅威」「自社とのこれまでの取引実績」「こちらの提案とお客さんのニーズとのマッチング度合い」などの要素から、総合的に考えて判断します。

しかも自分の独断で決めるのではなく、上司や先輩に商談に同行してもらったときなどに彼らの意見を聞くことによって、それを参考にし、よりランク付けの精度を高めていきます。

実際に結果が出た後に、検証をしてみることも大切。「自分としてはAランクだと判断していた案件が、予想に反して受注できなかった」とか、逆に「Dランクだと判断していた案件が、受注できた」という場合には、なぜそうなったかを分析してみるのです。これを繰り返すことで、正確にランク付けを行う力が高まっていきます。

よく「できるビジネスパーソンは数字に強い」と言われます。これは「できるビジネスパーソンは、何事も数字に落とし込んで物事を考える癖がついている」という意味です。漠然と考えるのではなく、数字を使って具体的に考えるのです。

適切な目標設定と目標管理ができる力を身につけて、会社から与えられたノルマを常に達成できる営業マンになることを目指してください。