歴史が浅い電子メールには、手紙のようなルールはまだ確立されていません。が、ビジネスの場ではある程度の“常識”が求められます。今回は基本的なビジネスメールの形を紹介しましょう。

●前文(宛名と挨拶)

メールの本文の一番最初に来るのは、相手の名前です。会社名や部署名、相手の肩書きが分かれば入れておきます。もちろん「様」付きです。

いろは株式会社営業部部長 山田太郎様

一行空けて簡単な挨拶文を入れます。

初めてメールを出す先なら→突然のメールで失礼いたします。
二度目以降なら→いつもお世話になります。

一緒に仕事をしている間柄であれば、相手の労をねぎらう意味である「お疲れさまです」という一文も有効です。ただし「ご苦労さまです」は私は使いません。これは目下の人に対する言葉であるとか。メールを受け取る相手がいくら社内でのポジションが低くても、SOHOワーカーにとってはクライアントに変わりありません。取引先に対して「ご苦労」では失礼にあたると考えています。

またここで「謹啓 初冬の候、御社におきましては益々のご繁栄の段、心からお慶び申し上げます」を入れたい! という人がいるかもしれません。これはビジネス手紙の常套句ですが、相手が社長クラス、団体やグループの代表者である場合、たまに使うことがあります。私もこの常套句ではじまったメールを受け取ったことが何度かありますが、いずれも相手の会社のトップレベルの方で、ビジネス成立時の挨拶メールでのことでした。現場の細々した打ち合わせは担当者としますので、ホントに初回取引の“儀礼的挨拶”なのです。このメールに対しては、私の方も「謹啓」からはじめるビジネス手紙の定型を取りました。もらったメールに対する返信では、挨拶文も相手のテンションに合わせておけば無難です。

さて挨拶文の次には、とっても大事なことを書きます。
それは・・・

●おヌシ、何者!?!

宛名の記載と挨拶が終わったら、次は自分の名前を名乗ってください。メールに不慣れな人には、これがナイことが結構多いですよ~!

メールにはヘッダが付きますし、また署名の自動添付機能を使えば文末に自分の名前は入ります。だからといって本文で名前を名乗らないのは、相手に対して失礼です。

特に初回メールでこのミスをやってしまうと「名無しの権兵衛に依頼する仕事はない!」で、メールそのものをポイと捨てられてしまうかも。でも文句は言えません。特に求人募集の受付中であれば、先方には膨大なメールが届いている可能性大です。沢山のライバルと比べられて、名乗り忘れただけで“社会的マナーがない”と判断されては、せっかくのチャンスも水の泡です。

また名乗る名前ですが、ハンドルネームは賛成できません。メールでは顔が見えないのですから「美縞ゆみ子です」と「みータンです」とでは相手が受ける印象が段違いです。個人情報の漏洩を懸念する人もいるでしょうが、その辺はビジネスだと割り切って考えるか、ビジネスネームや屋号を活用するといった工夫が必要でしょう。

ココまでをまとめてると、本文の最初はこのようになります。

いろは株式会社営業部部長 山田太郎様

突然のメールで失礼いたします。美縞ゆみ子と申します。

または、

いろは株式会社営業部部長 山田太郎様

いつもお世話になります。美縞ゆみ子です。

では次に、本文を書くときのポイントを挙げましょう。

●本文を書くときのポイント

本文は伝えたい用件を絞り込んで、できるだけ簡潔に書きます・・・といっても、これがヘタッピで頭が痛いな~という人、いませんか? 文章作法で一番参考になるのは新聞です。簡潔で読みやすく、何を伝えたいかが明確です。日頃から良文に親しんでおけば、自ずから文章力がつきますので、情報収集も兼ねて新聞は毎日読みましょう(当たり前かな?)。

次に大切なのが敬語の使い方です。敬語が難しいな~と感じるのは、クライアントに対してどの程度であれば適切かが判別できないときでしょう。あまりにも過剰な敬語では慇懃無礼になりますし、おざなりでは礼を欠くことになります。敬語について自信のない人は、敬語に関する本を一冊手元に置いておくと良いでしょう。また手紙の文章例をまとめた本も案外実用的でオススメです。

本文の内容はケースバイケースですが、営業メールの中で“これだけは書いてはダメ!”という代表的な一文を挙げてみます。

何も経験がありませんが、やる気はあります。
→「経験がない」ことを自分から主張する必要はありません。「やる気」はポイントになりません(誰でも言えますからね)。

夫が失業し家のローンもあって生活が苦しく大変なのです。
→同情はされても仕事はもらえません。クライアントにとってはアナタの家庭の事情なんて関係ありませんから。

子どもがいます。
→先方から尋ねられない限り、子どもや同居している身内といった家族構成を自分から伝える必要はナシ。

何でもします。
→「何もできない」と言っているのと同じ。

何でもできます。
→これも「何もできない」と見なされます。一番自信のある技術をドンとアピールした方が効果的です。

そして、もう一つ・・・
頑張ります!
→仕事ですから頑張るのは当然のこと。このセリフは具体的な依頼を受けたときのご挨拶に使いましょう。初対面メールや求人応募メールで連発すると安っぽく見られます。

ここで取り上げた一文は、決して耳障りの悪いものではありません。メールを書いている側は、むしろ謙虚な気持ちでいる場合が多いでしょう。自分としては誠意のあるところ示したつもりでも、メールではむしろマイナスとなります。クライアントが欲しいのは、客観的に判断できるアナタの能力です。過去の実績があればそれを出来るだけ詳しく、無いならば代わりにアピールできる技術を明確に書くよう心がけてください。

この他に注意することは、求人募集に応募する場合、記載する内容が定まっているなら、それに添って書けばOKです。例えば「住所・氏名・電話番号」とあれば「福岡県××・美縞ゆみ子・XXX-XXXX」という具合ですね。求人募集の掲示板や人材バンクのサイトに掲載されているこの順番は、自分で勝手に変えないようにしましょう。

●最後のシメは、やはり正攻法で

本文の最後に来るのは、これでしょうね。

どうぞよろしくお願い致します。

本文で存分に自分のことをアピールしたり、力の入った企画を書き連ねた最後はサラッと印象良く終わりたいモノです。この他に本文の内容によっては、次のような一文も有効です。

ご検討くださいますよう重ねてお願い申し上げます。
お時間のございますときにお返事をいただければ幸いです。
ご査収の程よろしくお願い致します。


あくまでも相手に押しつけがましくない文章で締めてください。